俳句ウオーキングのつどい
初体験 真田の里を巡る吟行会
2018.07.05(木) 雨
 生涯学習講座、6月の「芭蕉を読む」(おくのほそ道)で、先生から「俳句ウオーキングのつどい」のお誘いがあり参加した。先生は他の自治体も含め幾つもの講座をお持ちになっておられる。そういった講座から俳句の先輩ばかり30名弱が参加し、NHK大河ドラマ「真田丸」ゆかりの地を巡り「吟行会」が行われた。
 【真田氏本城跡】
 
 ここで、真田家相関図をもって登場人物を中心にお浚いしておこう。続柄は「真田幸村」(信繁)に対する。
 →【真田幸隆】(祖父)-【信綱】(伯父)・【昌輝】(伯父)・【昌幸】(父)-【信幸】(兄)・【信繁】(幸村)。
 城跡に上る小さな集落の中、急坂で狭い車道脇は「六文銭旗」で並び我々を出迎えてくれた。降りしきる雨ということもあろうが、NHK大河ドラマ「真田丸」の放映は2016年、一昨年とはいえ往時の観光熱は感じられない。
真田炎ゆ六文銭の旗もなほ 炎ゆ;晩夏
 句説) 季語;炎ゆ(もゆ;晩夏) ぎらぎらと輝く太陽の強い日差しによって、万物が燃えるような熱気をいう。照りつける太陽に道路はゆらめき、あたかも炎を上げているようにも思える。この季語は多分に視覚に訴えるところがある。
 上五「真田炎ゆ」で、大河ドラマ「真田丸」の往時の熱気を表現、中七・下五「六文銭の旗もなほ」はブームが去った今日の閑散とした状況を表現、衰退が目に見える豊臣方に加担した幸村を「発祥の地」では「(今も)なお」称え続けていると、「哀愁」を込めて詠んでみるも、投句は見送った。いま思えば惜しい気になる。
旗褪て六文銭やなほ炎ゆゝ 推敲(2018.07.06
 哀しさを抑え激しさが増し、継続的活力が生じたと思う。意味合いが大分異なりはするものの・・・・如何かな?
 
 小画像に写る男性は、窪田英治先生(俳文学会・現代俳句協会会員・俳句同人誌“岳”無鑑査・東御市出身)です。
 【長谷寺】
 
 真田幸隆(幸村の祖父)が開山した真田氏の菩提寺。幸隆夫妻と昌幸(幸村の父)の墓、近年に建てられた幸村供養塔があります。一つ岩から切り刻まれた「石門」を始めとし、至る所に「六文銭」(家紋)があるので探してみるのも楽しいです。
初吟行や六文銭の蓮と寺 蓮;晩夏
 「本堂」前に蓮鉢が置かれているとネット記事で知っていた。丁度、花期を迎えようとするところなので楽しみにしていた。何処を探しても見当たらず。事実と異なる上、読み手から「それで?」と言われるのでボツにした。
 
 「墓石」が三つ、中央に「真田幸隆」、右に「昌幸」、左に幸隆正室の「恭雲院」と並び、石囲いの左外側に幸村供養塔が並びます。幸隆が武田信虎らに信州を追われ上州に亡命、その時面倒を見てくれた「長源寺晃運」(安中)を復帰後に長谷寺の開基に招いた。
 【山家神社】
 「郷村」は、中世から近世にかけての村落共同体。江戸幕藩体制の基底をなした農村社会の存在形態(郷村制)であり、長野県小県郡真田町真田地区のかつては「真田郷=山家郷」と言われていた。その「山家郷」を守る寺社で「寺社分離」により「山家神社」と「白山寺」(廃寺)に分離した。「真田の里」(真田郷)は古く言えば「山家郷」ということになる。
 
 「山家神社」は、山家郷(真田郷)の産土神が祀られる歴史ある神社(古社)である。境内社の一つ「子安社」には「木花咲耶姫命」が祀られています。さて、芭蕉「奥の細道」狂人として見落とせない。
風死すや人煙まれな山家古社 風死す;晩夏
 句説) 季語;風死す(かぜしす;晩夏) 夏の暑さの中、少しでも風が吹けば心地よいものだが、風がぴたりと止むと誠に耐え難い暑さとなる。「凪」という現象だが、「風死す」と言えばその息苦しさが感じられる。工夫は中七「人煙まれな」にあり、「煙」の一文字を詠み込もうとの苦心で「人煙」(人家から立ち上がる煙、転じて、人の住む気配)に「・・・・まれな」と形容、それに下五「山家古社」と居場所の雰囲気を表現した苦心作。
 【信綱寺】
 
 
 「信綱寺」は、真田昌幸の二人の兄「信綱と昌輝」(戦国武将、三河長篠に武田方として出陣、ともに戦死)と信綱正室「於北様」の菩提寺。「信綱寺」の第一印象は「境内が広い」・・・・と感じた。
 
戻り梅雨六文銭の寺社めぐり 戻り梅雨;晩夏
 事前に作句したのは「晴」、当日は「雨降り」・・・・「吟行会」とのこと、その場で詠んだ句を投句せにゃいかんと苦し紛れに作句。勿論、「句説」なんてものはない。
 中央が「真田信綱」、左側が「於北様」、右側が「昌輝」の墓。
 【中央公民館】
 ①「真田の里めぐり」(9:00-11:50)、「中央公民館」(12:00-14:30);②「民話の語り」、○昼食、③「愛唱歌」、この間に先生の「選句」が行われ、④「選句結果発表・選評・表彰」、⑤交流会(自己紹介等)が行われた。※投句は2句、選句は7句、なお好評は全句。
 投句の2句は、「風死すや人煙まれな山家古社」と「戻り梅雨六文銭の寺社めぐり」、「戻り梅雨」は昼食中に詠んだもの、他の3句は事前に作句し昼食中に推敲(読み直すも初案のまま)。
 選句結果発表に先立ち、「あえて先に言わなかったが・・・・」と前置き
 ①「真田」「城」「○○寺・○○神社」は詠み込まないこと→「動いてしまう」(固有名詞は入替が効く)、そこで「何を感じたか」(掘り下げよ)が大切である
 ②「カタカナ」は使わない
 ③「報告」(説明)はダメ→読者は「あ~そう」で片付けてしまう。大切なのは読者が何を浮かべるか
 ④「古い句」は避ける→つまらない
 ⑤「字余り」は「上五」に置く
 選句結果
 「風死すや人煙まれな山家古社」が選ばれ、表彰は「俳句手帳」(画像)を頂いた。「中七」は「一筋の人煙が真っ直ぐに立ち昇る」との感じで良い、「古社」は古い、勉強し過ぎで句が硬い。
 「戻り梅雨六文銭の寺社めぐり」は、「報告」で面白くない。
2句の出来栄えに大きなギャップがある。
 ひとりごと
 「人煙」の「煙」に拘った点(苦労した)を先生は気付いておられ「凝り過ぎ」と言わんばかり・・・・。「山家神社」に祀られているのは「木花咲耶姫命」、「奥の細道」(室の八島)に準じて「煙」を詠み込んだ。ただ、現地で詠んだ句なら、「山家神社」は集落の中にあり「人煙まれな」は造り過ぎ・・・・。作句段階で「雲煙」「雲煙模糊」もあった。「雲煙模糊の」(うんえんもこの);雲や霞むが立ち込めて、はっきりしない様子。→「風死すや雲煙模糊の山家古社」・・・・実態に近づくも漢字が多く更に硬くなる。やはり「山家郷」には前句似合う。
 「川柳講座」を2年受けた。「季節を詠む俳句」と「人事を詠む川柳」・・・・「季語入りの川柳」に固まり抜け切れなくなりつつある。また、「旅の未知草」の挿入句(説明調)にもなっているので注意しよう。