復活に向け Butterfly Aid “Tyokyojin 2017”
 バタフライガーデン“蝶狂人”の造園三大目標のひとつ「絶滅危惧種の駈込寺」の必要性が年々高まっている。6年目は正に“Butterfly Aid”(蝶の援助・支援・救護等)元年になりそうだ。「絶滅危惧種の駈込寺」をイメージしたのは、「ミヤマシジミ」と「ヒメシジミ」であったが・・・・
 バタフライガーデン“蝶狂人”に集う蝶たち・・・・長野県版レッドリストに掲載されている顔ぶれ。
アゲハチョウ科   シロチョウ科   シジミチョウ科
ヒメギフチョウ(準絶)
  ヤマキチョウ(絶Ⅰ)   オオルリシジミ(絶Ⅰ、天記)
ミヤマシジミ(絶Ⅱ)
ムモンアカシジミ(準絶)
ウラナミアカシジミ(準絶)
ヒメシジミ(留意))
タテハチョウ科   セセリチョウ科   絶滅し見られなくなった蝶
ヒョウモンチョウ(準絶)
キマダラモドキ(準絶)
オオムラサキ(留意)
  ミヤマチャバネセセリ(絶Ⅰ)
スジグロチャバネセセリ(準絶)
ヘリグロチャバネセセリ(準絶)
  ヒメシロチョウ(絶Ⅱ)
アサマシジミ(絶Ⅱ)
 “Butterfly Aid #1” ヒメギフチョウ
 バタフライ・エイドの第1歩は「食草の育成環境」が確保できることである。その環境は、午前中に日が当たり、午後には日陰になる。かつ、人気か少なく静かであれば申し分ない。(最適地は農道奥の沢床だが・・・・)
 移植場所の準備ができたので食草採集に行った。4年ぶりなので成虫は居ないと思っていたら2頭が飛び交っていた。絶滅していたと思っていたが・・・・姿を見て安堵した。(2017.4.25
 粘土地なので「落葉+腐葉土+桐生砂+鹿沼土+畑の土」をブレンドし鉢植えにしたものを「ブッドレア」の根元に埋設した。「数本/鉢」植えにしたら22鉢できた。(2017.4.25→小画像は4.27
 防虫ネットは幼虫を入れる際ていいと思った。考え方を変えてみると・・・・日除けになる。早速、5ネットを取り付けた。寸法はφ30cm×h40cmと小振り、下部はφ17cmに絞り込んである。植木鉢の底は粘土層に着いている。昨日の水やり、底部に溜まり水が残っていた。(2017.4.30-5.1
 累代飼育の開始(2017.5.6
 そろそろ「孵化」している頃だろうと見に行った。蝶は昨年より8日遅い発生の410日、昨年は58日には孵化して何日か経っているのか大きな1齢だった。連休明けはオオルリシジミの羽化が始まり多忙になる。上記の採卵2葉(30個)と食用8葉を採取し孵化よりケージ飼育(オオルリシジミの累代飼育と同じ方法)する。様子をみて途中より飼育ネットに移す。卵の直径は「約1mm」ある。
 孵化の開始(2017.5.816個口から孵化が始まった。
13:16 18:12 20:20
 卵は「ゴールドからシルバー」に変っていた。今日はテラスのリホーム、昼食前に覗いた時は「シルバーの卵」(13:16)だった。黒光りのシルバーは幼虫になっているからだ。夕刻、入浴前に覗くと「1疋の幼虫」が確認(18:12)出来た。夕食後には「6疋」(20:20)になっていた。幼虫は卵の3倍強(直径×π=3.2mm)、計算通り。翌朝観察では9疋になっていた。
 若齢幼虫の特徴(2017.5.9
9:26   14:10
 ヒメギフチョウの若齢幼虫に見られる特徴の一つとして・・・・食事は自由に三々五々・・・・食べ終えたら行儀よく一列に並んで休む。これは「防衛本能」に基づく行動特性だろうか・・・・? 産み付けてあるウスバサイシンの葉は、採取して4日目になる。食用に耐えられないほど萎れている。切り取り冷蔵庫で貯蔵中の葉に乗せた。(2017.5.9
 続々と孵化(2017.5.10
16個口は12個まで孵化   14個口はゴールドからシルバーに変色
 昨夜、16個口は12個まで孵化・・・・残り4個は孵化するだろうか?。一方、14個口はゴールドからシルバーに変色し今日にも孵化するだろう。鉢植えのウスバサイシン、自然の物と比べると小さいがシャキッとしている。乾燥しないよう周囲の水くれを怠らない。移動前に落葉を敷き詰めておこう。(2017.5.10 7:17
 夕方、覗いてみると14個口で11個が孵化していた。横から撮ってみたら孵化前後の卵があまりにも綺麗でびっくりした(2017.5.10 17.32 )。511日夕(16:00)、14個口が全て孵化し、幼虫は26疋になった。
 515日(22:25)、2齢幼虫
 幼虫の周りには「脱ぎ捨てられた1齢スーツ」が散乱していた。「2齢幼虫」だ・・・・この辺りから「ゾッ」とする。シジミチョウは何とか我慢できるがアゲハチョウとなれば別だ・・・・今夜は“夢”を見そうだ
 ブッドレアの根元に埋め込んだ鉢植のウスバサイシンに全26疋の2齢幼虫を移した。その際、葉から落下した幼虫も少なくない。「自力で這い上る」ことも試練と成り行きに任せ「員数チェック」はせず。(2017.5.17
 移動後5日を経た時点で「確認・観察・撮影」をした。狭いネット内、葉裏で撮影が難しく何とか撮影できた。脱皮の殻も幾つか確認できた。「試練」を乗り越えたのは17疋(生存率65%)しばらく様子をみて、5ケージに均等配分(34疋)する。餌が不足しそうになったら、同エリアに11ポット埋め込んである。その内、9ポットは十分に成長している。ポット交換が今後2回出来るので蛹まで飼育できるであろう。終齢ケージには「落葉・桐生砂」を敷き詰める予定だ。なお、来春までの「蛹の管理」については追々考えよう。(2017.5.22
 528日 前回(5.22)チェックより6日経った
員数チェック
ケージ No 5.22 5.28
3 3
1 3
7 4
3 3
3 4
合計 17 17
 「観察記録」を「マメ&キチン」と書き留めている。こんなことを書いたら「ボケ」たのかと言われるので書かずにおこうと思った。「根が正直」なので明らかにしておきたい。「5.28」の「員数チェック」は「再配分前」である。正に「瞬間移動!」あるいは「彼等が勝手に引っ越した?」・・・・ネットは移動できないよう封鎖してある。
ケージ ① ケージ ② ケージ ③
ケージ ④ ケージ ⑤ 交換前 ケージ ⑤ 交換後
 飼育ケージの画像からも「撮影の難しさ」がご理解いただけよう。予想外に小食・・・・数日以内に「落葉・桐生砂」を敷き詰め「蛹化」の対応をしよう。(2017.5.28
ケージ ① (3疋→3疋) ケージ ② (3疋→3疋) ケージ ③ (4疋→2
 交換用の「飼育ケージ」(採集)を準備した。(2017.5.30
 ネットを掛けずに同じエリアに鉢植えしておいたウスバサイシンだ。
 ①表面
1cm程度の土を除く
 ②落葉を並べて敷き詰める
 ③桐生砂(中)の粒部で覆う
 ④葉に着いた土を洗い落す
 ⑤水をたっぷりやる
 ⑥
2日程養生させる
※→後の数は最終移動数(
3疋)
 ⑦幼虫たちの引越し
 ⑧雨は別として直接的水やりはせず
 ⑨水やりは植木鉢の周囲にする
 ⑩蛹化を待つ
ケージ ④ (3疋→3疋) ケージ ⑤ (4疋→3
 「最終移動」(2017.5.31)を行った。前回(2017.5.28)より「3疋」減少していた。偶然かもしれないが、減少したのはいずれも「4疋」ケージである。ポット上部「φ180mm/1株植え」だと終齢幼虫3疋が限界か?
 蛹化に向けた14疋の旅立ち
ケージ ① (3疋) ケージ ② (3疋) ケージ ③ 2疋)
 30個の卵で始めた飼育は14疋の34齢幼虫に育ちました。蛹まで辿り着くのは何疋かな・・・・。(2017.5.31
ケージ ④ (3疋) 蛹化に向けた14 ケージ ⑤ 3疋)
 16日目(5/176/2)で里帰り
 激しい雷雨、明けて雹混じりの雷雨・・・・どうしているのだろうと覗く・・・・ウスバサイシンが丸裸。折角、ここまで面倒を見て来たのに餓死させるわけにはいかない。再度、飼育ケージに14疋が里帰り。クララに比べ「葉持ち」がいいので、明日にでも前の沢に「ウスバサイシン取り」に行ってこよう。(2017.6.2
ケージ No.13疋) ケージ No.23疋) ケージ No.32疋)
 葉の下にジャバラ折りのキッチンペーパーを置いたが、「蛹化」には「枯葉」を敷き詰めた方がいいだろうか・・・・無いよりあった方がいいはずだ。
 ケージ No.42疋) ケージ No.52疋) ケージ No.62疋)
 終齢幼虫に適した(蛹化に良いと思う)ようにと・・・・ひと工夫
 「蛹化」化の経過を撮影したく「桐生砂」を敷き詰めることはしなかった。「落葉」の上に「ウスバサイシン」の大きさにより12枚、その上に「終齢幼虫」を23疋入れた。序でに「蛹化ケージ」を5つにまとめた。露地飼育の鉢を抜いた場所に「ウスバサイシン」を7株を直植えした。(2017.6.3
 飼育ケージの掃除をする。このところ、早朝の気温が5℃と大分低い。餌もあまり食べてないようなので新しい葉と交換はしなかった。枯葉にくるまり冷えから身を守っているように見えた。(2017.6.5
 朝食を済ませ「餌やり」をしていると「変な動き」をしている幼虫がいた。朝方の寒さなのか、大半の幼虫は枯葉にくるまっている。糞の掃除もあるので枯葉を逆さにすると幼虫はこぼれ落ちる。その中で、枯葉に体を括りつけている幼虫が目にとまった。3齢から4齢に脱皮しているかに見えた。(2017.6.8
 フィナーレ“蛹化”(ようか)(2017.6.10
 夕方の点検で14疋中6疋が「蛹」になっていた。「孵化第1号」が、58日だから40日で「蛹化」したということだ。毛虫が嫌いだが蛹は可愛い・・・・卵から育てたので尚更だ。
 これから暑く乾燥する夏を迎える。来春の羽化までの棲家を作り保管する。その記事を書いたら終了だ。
 蛹の夏眠(初夏~晩秋)
 設置場所は、日が当らなく涼しく雨が当らないテラス下(縁の下)の北側に鉢の半分程度を埋める。湿気虫が入らぬよう上蓋の篩にはケージ制作に用いた洗濯ネットの切れ端を敷く。温湿度計がひとつ余っているので蓋の篩に入れておき時々チェックする。
①φ180mmの蓋付ポリ容器 1.2ℓの水ごけを敷き詰める ③枯落葉で覆う
 蓋付ポリ容器の蓋は、酸欠にならぬよう覆わない。水ごけには水を含ませてある。枯落葉は②と⑤の間に敷き詰めた緩衝材である。
④φ230mmの鉢(完成形) ⑤紙カップに桐生砂がベット ⑥篩を蓋に枯落葉で覆う 
 紙カップは5つ、その3カップにヒメギフチョウの蛹を4~5個入れる。残る2カップはオオルリシジミの蛹を入れる予定だ。
 面白い写真が撮れた・・・・?
 
 残る
6疋のチェックをした。
  蛹化;
3疋(蛹直1
  幼虫;蛹へ
2、動き回る1

 蛹直は「黄緑色」をしている。既に蛹になっているものと同じ枯落葉にくるまっている。撮影前は、この間に毛虫がいた。ヤラセ撮影でも良かったが、根が正直なので・・・・惜しかった!(
2017.6.12
 「夏眠」場所の設置(2017.6.13
 テラス下の北側に穴を掘り植木鉢を埋め「夏眠」場所をつくった。必要に応じ木箱あるいはダンボール箱を被せてもいいかと思う。横殴りの雨が降っても「お湿り」程度に濡れ丁度良いはずだ。最終的な蛹の數は「14個」(採卵からの生育率46.6%)である。
 Butterfly Aid “Tyokyojin 2017” Completed
 絶滅が危惧される「ヒメギフチョウ」の生息地川下地域に「新たな生息地」づくり(区の桜公園内にカタクリの群生地がある)を区長さんに提案し、関係者と話し合った結果OKが出た。
 今日('17.7.22)、ウスバサイシンの移植場所を決め除草を行った。カタクリの群生地はロープで囲われている。それでも、ウスバサイシンは踏みつけられないよう岩の周辺に30ヶ所穴掘りをした。30ケ所の穴掘りでカタクリの球根が出てきたのは3個のみ・・・・群生地は現存しているか心配になってきた。
 ウスバサイシンを移植した。かつての生息地で採集し養生させているが、この時期のウスバサイシンの特定は難しく正直いって自信がない。絶滅が危惧されている生息地の崖上部にウスバサイシンの群生地があるので、そこから別途採集したものも養生中である。何となく同種のように思える。前者より15、後者より1227ヶ所に移植した。7.22は着いてすぐ、今日は引き上げる前に衝撃性の痛みを感じるハチ刺されで参った。('17.8.2
 ヒメギフチョウの「生息域保全計画」の予定
2018.4羽化直前に蛹10個を投入
②発生確認および産卵確認
③未発生または産卵なき場合は、結果を見て採卵飼育の
3齢幼虫10疋程度投入
※来春のカタクリの開花を見てエリアの再検討を行う
※林床に木漏れ日が届いていない可能性もあり枝打ちが必要と思われる