句碑ならびに掲載句
 「おくのほそ道」掲載句で句碑あり ● ○碑撮り旅掲載句 無印句碑なし 無印は参考記載句 No.は芭蕉全句集(982句) 備考欄の「」は段
掲載句(句碑の句形) 備   考
 出立前(旅の計画段階)
457 朝よさを誰まつしまぞ片心 桃舐集 旅への想いに松島が心を占有
473 元旦に田毎の日こそ戀しけれ 橋守 元禄2年(1689)の歳旦吟、旅の計画がのべられている
474 かけろふの我肩に立かみこかな 伊達衣 元禄227日、七吟歌仙での発句(歓送会か?)
477 おもしろやことしのはるも旅の空 去来文 元禄2年正月、去来に出立を暗示
 「おくのほそ道」碑撮り旅
482 草の戸も住み替る代そひなの家 「発端」(序文) おくのほそ道
483 鮎の子のしら魚送る別哉 伊達衣
484 行はるや鳥啼うをの目は泪 「旅立ち」 鳥之道
485 いと遊に結つきたるけふりかな 「室の八島」 曾良書留
 糸遊に結つきたる煙哉 曾良書留
486 入かゝる日も糸ゆふの名残りかな 伊達衣
 入かゝる日も程々に春のくれ 曾良書留
487 鐘つかぬさとは何をか春の暮 曾良書留
488 入あひのかねもきこへすはるのくれ 曾良書留
 鐘撞かぬ里は何をか春の暮 別案かも
489 あらたふと青葉わか葉の日の光 「日光」 おくのほそ道
 たふとさや青葉若葉の日のひかり 初蝉
489 あらたふと木の下闇も日の光 真蹟懐紙 「あなたふと」 曾良書留
剃捨てて黒髪山の故露もかへ 曾良
490 志はらくは瀧に籠るや夏の初 鳥之道 他に「暫時は滝に籠るや夏のは仝」(存疑)
491 郭公うらみの瀧のうらおもて やどりの松
492  ほとゝぎすへたつか瀧の裏表 杉風宛曾良書簡(須賀川諏訪明神参詣、曾良句共に奉納)
うら見せて涼しき瀧の心哉 曾良
かさねとは八重なてしこの名なるへし 「那須野」 曾良
493 秣おふ人を枝折の夏野かな 「黒羽」 歌仙「秣負ふ」 曾良書留
 青き覆盆子をこぼす椎の葉 歌仙「秣負ふ」 翠桃
 村雨に市のかりやを吹きとりて 同上 曾良
今日も又朝日を拝む石の上 同上 芭蕉
494 山も庭もうこき入るや夏座敷 秋鴉(浄法寺桃雪)を訪ねての挨拶吟 曾良書留
夕食くふ賤が外図に月出て 秋鴉邸での歌仙「夕食くふ」 曾良書留
雨晴て栗の花咲跡見哉 桃雪 同上
いづれの草に啼おつる蝉 等躬 同上
秋來にけりと布たぐる也 曾良 同上
497 夏山に足駄を拝むかどでかな おくのほそ道 修験光明寺にて 
497  夏山や首途を拝む高あしだ 曾良書留
495 木つゝきもいほはやふらす夏こたち 「雲厳寺」 おくのほそ道
495  木豚も庵は食らはす夏木立 曾良書留
496 田や麦や中にも夏のほとゝきす 「黒羽」 曾良書留
498 鶴鳴や其聲に芭蕉やれぬへし おくのほそ道 画賛句 曾良書留
499 野を横に馬牽むけよほとゝきす 「殺生石・遊行柳」(那須野) おくのほそ道
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掲載句(句碑の句形) 備   考
500 落くるやたかくの宿の郭公 曾良書留
木の間をのそく短夜の雨 曾良 同上句の付合
一と間をしのくみちか夜の雨 曾良 同上句の誤刻
501 湯をむすふ誓いもかなし岩清水 「殺生石・遊行柳」(殺生石) 陸置衛
501  湯をむすぶ誓も同じ石清水 曾良書留
502 むすふよりはや歯にひゝく清水哉 都曲 「那須湯本」での発句とする説があるも確定しない
503 いしの香やなつ草あかく露あつし 「殺生石・遊行柳」(殺生石) 曾良書留
504 田一枚植て立去る柳かな 「殺生石・遊行柳」(遊行柳) おくのほそ道
505 早苗にも我色くろき日数かな 「白河の関」 曾良書留
506 西か東か先早苗にも風の音 曾良書留
509 関守の宿を水鶏に問はうもの 伊達衣 関山満願寺を参詣
卯の花をかざしに関の晴着かな 曾良
507 風流のはしめや奥の田うへ唄 「須賀川」 おくのほそ道 等躬への挨拶吟(三吟歌仙)
 覆盆子を折て我まうけ草 三吟歌仙 等躬
 水せきて昼寝の石やなをすらん 三吟歌仙 曾良
508 世の人の見付ぬ花や軒の栗 おくのほそ道
 隠れ家やめだたぬ花を軒の栗 曾良書留
510 五月雨の瀧降うつむ水かさ哉 荵摺 曾良書留
510 五月雨耳飛泉梨う川む水可佐哉 同上の初代句碑
511 早苗とる手もとや昔しのぶ摺 「浅香山・信夫の里」 おくのほそ道
511 早乙女にしかた望まむ信夫摺 曾良書留 同上句の初案
浅香山帷子ほして通里介李 存疑 古文書「安藤親重覚書」が発見(2019)芭蕉作と裏付
512 笈も太刀も五月にかざれ紙幟 「飯塚の里」 おくのほそ道
 弁慶が笈をもかざれ紙幟 曾良書留 医王寺での墓参句
514 笠島はいつこ皐月のぬかり道 「笠島」 おくのほそ道
513 佐くらより松盤二木を三月越し 「武隈の松」 おくのほそ道
 武隈の松見せ申せ遅桜 挙白 餞別句
 散うせぬ松や二木を三月こし 四季千句 曾良書留 初案
515 あやめ草足に結ん屮鞋の緒 「宮城野」 鳥之道 曾良書留
松島や鶴に身をかれほとゝきす 「松島」 曾良
516  島々や千々にくだきて夏の海 曾良書留
517 夏草や兵共か夢の跡 「平泉」 猿蓑
卯の花の兼房見ゆる白髪かな 曾良
518 五月雨の降残してや光堂 おくのほそ道
 五月雨や年々振りて五百たび 曾良本おくのほそ道
519 螢火の昼は消つゝ柱かな 曾良本おくのほそ道
520 蚤虱馬の尿する枕もと 「尿前の関」 おくのほそ道 
 蚤虱馬の尿(ばり)する枕もと 「・・尿(しと)・・」に対し「・・尿(ばり)・・」 曾良本おくのほそ道
521 凉しさを我が宿にしてねまる也 「尾花沢」 おくのほそ道
523 まゆはきを俤にして紅粉の花 おくのほそ道
522 這出よかひ屋か下の蟇の聲 おくのほそ道
蚕飼する人は古代の姿かな 曾良
鹿子立をのへのし水田にかけて 曾良
つねのかやりに草の葉を焼 清風
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掲載句(句碑の句形) 備   考
ゆふづきまるし二の丸の跡 素英
524 行すゑは誰肌ふれむ紅の花 尾花沢での作とするも「此句はいかなるときの作にかあらん」と付
525 閑さや巌にしみ入蝉の聲 「立石寺」 おくのほそ道
525 閑かさや岩にしみ入蝉の聲 短冊に翁の句をしたため地に埋め石塚を建立
 山寺や岩にしみつく蝉の聲 曾良書留
 さびしさや岩にしみ込蝉のこゑ 初蝉
 淋しさの岩にしみ込せみの聲 こがらし
526 五月雨をあつめて早し最上川 「最上川」 おくのほそ道
526 さみ堂礼遠あつめてすゝしもかミ川 曾良書留 前句の初案
初折の表六句と名残りの裏六句 省略 文中46ページ参照
527 水の奥氷室尋る柳哉 曾良書留
 風渡る的の変矢に鳩鳴て 曾良
528 風の香も南に近し最上川 曾良書留
 歌仙「御尋に」7 省略 文中47ページ参照
529 有難や雪をかほらす南谷 「出羽三山」 おくのほそ道 曾良書留
 川船のつなに蛍を引立て 曾良
 歌仙「有難や」6 省略 文中52ページ参照
530 凉しさやほの三日月の羽黒山 「三山句碑」 野口道(旧月山参道)より羽黒山頂に移設 
 三山句碑 羽黒山「涼しさや」・月山「雲の峰」・湯殿山「語られぬ」
530 涼風やほの三か月の羽黒山 「涼しさや」の初案 曾良書留
五月雨やほの三か月の羽黒山 芭蕉翁三日月塚
531 雲の峯いくつ崩れて月の山 おくのほそ道 曾良書留
532 語られぬ湯殿にぬらす袂哉 おくのほそ道 曾良書留
湯殿山銭ふむ道の泪かな 曾良
533 其玉や羽黒にかへす法の月 真蹟懐紙 天宥法印を偲んで詠んだ追悼句
534 月か花かとへど四睡の鼾哉 天宥法印筆による「四睡図」への画賛句
535 めつらしや山をいて羽の初なすひ 出羽三山参詣を終え鶴岡藩士「長山重行邸」へ 歌仙「初茄子」挨拶吟
 蝉に車の音添る井戸 重行 同上
 絹機の暮閙しう梭打て 曾良 同上
 閏弥生もすゑの三ケ月 露丸 同上
536 暑き日を海に入れたりもかみ川 「酒田」 おくのほそ道
540 あつみ山や吹浦かけてゆふ凉み 継尾集 象潟より戻っての酒田
541 初眞桑四にや斷ン輪に切ン 真蹟詠草 あふみや玉志亭での即興発句会
三人の中に翁や初眞桑 不玉 同上
初瓜やかふり廻しをおもい出つ 曾良 同上
興にめてゝこゝろもとなし爪の味 玉志 同上
542 花と実と一度に瓜のさかりかな こがらし 知人の親子を誉めた句
537 象潟や雨に西施かねむの花 「象潟」 おくのほそ道
537 象潟の雨や西施かねふの花 曾良書留
539 腰長や鶴脛ぬれて海涼し ねぶの雪 象潟自詠懐紙 「汐越や」の初案
538 ゆふばれや櫻に涼む波の花 継尾集
象潟や料理何くふ神祭 曾良 おくのほそ道本文
蜑の家や戸板を敷て夕涼 美濃の国商人 低耳 おくのほそ道本文
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掲載句(句碑の句形) 備   考
波こえぬ契ありてやみさこの巣 曾良 おくのほそ道本文 前頁からの3句 唯一句碑なし
さわらねば汲まれぬ清水かな 「越後路」 存疑
543 小鯛さす柳涼しや海士かつま 曾良書留(越後西頸城郡の浜辺と前書
稲つまや顔のところか薄の穂 続猿蓑 骸骨絵賛 「奥の細道」旅中林徳寺立ち寄り時の作と伝承
文月や加羅さけ拝む乃寿三山 奥の細道 西生寺参詣時に詠んだと伝承 
海に降る雨や悲しきうき身宿 かつては存疑 元禄年間北越路への旅で出雲崎で詠まれたと伝承
545 文月や六日も常の夜には似す おくのほそ道
546 荒海や佐渡に横たふ天の川 おくのほそ道
547 薬欄にいつれの花を艸まくら 曾良書留 越後高田の医師「細川春庵亭」泊時に詠んだ句
曙や霧にうつまくかねの聲 かつては存疑 能生の「玉や五郎兵衛」(玉屋)泊時に詠まれたと伝承
548 一つ家に遊女もねたり萩と月 「市振」 おくのほそ道
549 早稲の香や分け入る右は有磯海 「越中路」 おくのほそ道
550 あかあかと日はつれなくも秋の風 おくのほそ道 途中唫(金沢-小松)に異説あり・・・・越後赤坂宿しかり
551 熊坂が其名やいつの玉まつり 曾良書留
552 秋涼し手毎にむけや瓜茄子 「金沢」 おくのほそ道
ちる柳あるしも我も鐘をきく 存疑 加賀の蕉門「鶴屋句空」の草庵「柳陰軒」泊で詠む
553 つかもうこけ我泣聲は秋の風 おくのほそ道
 玉よそふ墓のかざしや竹露 曾良 前句と同じ一笑への追善句
心から雪うつくしや西の雲 小杉一笑 辞世の句
543 小鯛さす柳すゝしや海士の軒 「奥の細道」旅中「金石」で連句指導の際に詠まれたと説明書
544 風かをる越しの白嶽を國の華 曾良書留(直江津にて/蕉句後拾遺には加賀へ文通と前書)
554 しほらしき名や小松吹萩すゝき おくのほそ道 
露を見しりて影うつす月 鼓蠣 「山王句会」(鼓蠣の館での歌仙) 前句の脇
 乞食おこして物くはせける 曾良 「山王句会」は10人 曾良は初裏から
555 濡れて行くや人もをかしき雨の萩 曾良書留 小松の「歓生亭」五十韻発句での挨拶吟
 心せよ下駄のひゞきも萩露 同上 曾良
556 あなむさん甲の下のきりきりす 「多太神社」 真蹟懐紙
556 むさんやな甲の下のきりきりす 猿蓑
幾秋か甲にきえぬ鬢の霜 曾良
くさすりのうら珍しや秋の風 北枝
562 石山の石より白し秋の風 「那谷」 おくのほそ道
557 山中や菊は手折らし湯の匂ひ 「山中」 おくのほそ道
558 桃の木の其葉ちらすな秋の風 泊船集
紙鳶きれて白根ケ嶽を行方かな 桃妖 山中温泉和泉屋の主人久米之助
旅人を迎に出れはほたるかな 桃妖
山人の昼寝をしはれ蔦かつら 桃妖 
559 いさり火にかしかや浪の下むせひ 卯辰集
559 かゝり火に河鹿や波の下むせひ 東西夜話
子を抱いて湯の月のそく猿かな 北枝 卯辰集第三(北枝編) 山中の温泉にてと前書
560 湯の名残今宵ハ肌の寒からむ 柞原
 月よしと角力に袴踏ぬきて 「山中集」(山中三吟評語)曾良餞 「馬かりて」北枝
行行てたふれ伏すとも萩の原 「別離」 曾良
跡あらん倒れ伏すとも花野原 曾良 前句の初案か
561 今日よりや書付消さん傘の露 おくのほそ道
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掲載句(句碑の句形) 備   考
 さびしげに書付消さん笠の露 前句の初案か
終宵秋風聞くや裏の山 「全昌寺」 曾良
563 庭掃て出はや寺に散柳 おくのほそ道
564 物書て扇引さく余波哉 「天龍寺・永平寺」 おくのほそ道
565 名月の見所問ん旅寝せん 「福井」 荊口句帳 芭蕉翁月一夜十五句(其の弐)
566 月見せよ玉江の芦を刈らぬ先 「敦賀」ひるねの種 芭蕉翁月一夜十五句(其の四)
567 朝六つや月見の旅の明はなれ 其復路 芭蕉翁月一夜十五句(其の参)
568 あすの月雨占なはんひなか嶽 荊口句帳 芭蕉翁月一夜十五句(其の五)
うくいすの初音きかせししるへかな 存疑
569 月に名を包みかねてやいもの神 ひるねの種
570 義仲の寝覚めの山か月悲し ひるねの種 芭蕉翁月一夜十五句(其の七)
571 山中や越路も月はまた命 荊口句帳 芭蕉翁月一夜十五句(其の壱)
576 月のみか雨に相撲もなかりけり ひるねの種 芭蕉翁月一夜十五句(其の壱拾弐)
572 國ぐにの八景更に気比の月 荊口句帳 芭蕉翁月一夜十五句(其の八)
573 月清し遊行のもてる砂の上 猿蓑 芭蕉翁月一夜十五句(其の九)
573 なみたしくや遊行のもてる砂の露 真蹟短冊 前句の初案
574 名月や北國日和定なき おくのほそ道 芭蕉翁月一夜十五句(其の壱拾四)
575 月いつこ鐘は沈めるうみのそこ 草庵集・四幅対いずれとも若干異なる
577 ふるき名の角鹿や恋し秋の月 荊口句帳 芭蕉翁月一夜十五句(其の壱拾参)
578 小萩ちれますほの小貝小盃 薦獅子集
579 衣着て小貝拾わんいろの月 荊口句帳 芭蕉翁月一夜十五句(其の壱拾)
580 波の間や小貝にましる萩の塵 「種の浜」 類柑子 
581 寂しさや須磨にかちたる濱の秋 おくのほそ道
582 鳩の声身に入わたる岩戸哉 「大垣」 漆島 旅を終え明星輪寺(宝光院)参詣の折りに詠む
     疊めは我が手のあとぞ紙衾 曾良 題竹戸之衾
583 胡蝶にもならで秋ふる葉虫哉 己が光 大垣の近藤如行宅で詠んだ句(この頃の芭蕉は欝症状)
    種は淋しき茄子一本 如行 前句の脇
584 そのまゝに月もたのまし伊吹山 真蹟詠草 大垣藩士高岡三郎亭(斜嶺)に招かれての挨拶吟
585 こもり居て木の実草のみひろはゞや 後の旅
御影たつねん松の戸の月 如水 同上併刻
586 はやはやさけ九日もちかし菊の花 笈日記 大垣藩士浅井左柳亭での歌仙発句
588 隠家や菊と月とに田三反 真蹟懐紙 句集では「月と菊」
589 蛤のふたみに別れ行く秋ぞ おくのほそ道
秋の暮行先々ハ苫屋哉 木因 芭蕉送別連句(伊勢詣)
萩にねようか萩にねようか 芭蕉 同上
霧晴ぬ暫ク岸に立給へ 如行 同上
589 蛤のふたみへ別行秋ぞ 芭蕉 同上
590 うき我をさひしからせよ秋の寺 真蹟色紙
926 旅に病て夢は枯野をかけ廻る 元禄7108日深更 「病中吟」(生前最後の句)
春にわれ乞食やめても筑紫か奈 曾良 辞世の句
なきからを笠に隠すや枯尾花 其角 追善の俳諧「枯尾花」
木曽殿と背中合せの寒さかな 又玄
587 藤の實は俳諧にせん花のあと(藤の実)は編集の都合で削除しました
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