旅の未知草「芭蕉句碑めぐり」  
  細道を碑撮り馳せるや走馬灯  
  − 「奥の細道」旅中と思える期間に詠まれた作品を中心とした代表的な句碑(青文字;「おくのほそ道」掲載句) −  
   
 
 
夏山に足駄を拜むかどでかな
 
 
鶴鳴や其聲に芭蕉やれぬへし
 
 
野を横に馬牽むけよほと

きす
 
 
落くるやたかくの宿の郭公
 
   「おくのほそ道」(黒羽)元禄249日、「黒羽」の「修験光明寺」に招かれ「行者堂」に安置されている「下駄」を拝み旅の無事を祈り詠んだ句。「夏山や首途を拝む高あしだ」(栃木県大田原市修験光明寺跡)    「おくのほそ道」(黒羽)元禄24月、「黒羽」滞在中に芭蕉(草木)と鶴を描いた絵の画賛、鶴がもし一声発したら芭蕉の葉は破れてしまうだろう。(栃木県大田原市芭蕉の広場)    「おくのほそ道」(殺生石)元禄24月、「那須の原」(黒羽より高久に向かう道すがら416日、手綱をとる馬子の願い)で詠んだ句であろう。(栃木県那須塩原市八坂神社)    「おくのほそ道」(殺生石)元禄2416日、「高久」の庄屋「覺左衛門」宅に二宿。殺生石を見て、その伝説を込めての作。これに曽良が「木の間をのそく短夜の雨」を付合。新句碑(栃木県那須町高久家跡)  
 
 
一と間をしのくみちか夜の雨
 
 
湯をむすふ誓もかなし石清水
 
 
むすふよりはや歯にひ

く清水哉
 
 
いしの香やなつ草あかく露あつし
 
   「落くるや」と同じ曽良の付合句。何処でどう間違ったのか「一と間をしのぐ」は誤刻で、正しくは「木の間をのぞく」である。「誤刻」で片付けたくない素晴らしい句と思う。(栃木県那須町高福寺)    「おくのほそ道」(殺生石)元禄24月、「那須湯本」での作。那須湯本の「温泉大明神」、ここには京都の「石清水八幡宮」が合祀されている。(栃木県那須町温泉神社)    「おくのほそ道」(殺生石)元禄24月、「那須湯本」での発句とする説があるも確定しない。「結ぶ」→「掬ぶ」→「掬う」(すくう)→「手ですくう」という意味になろう。(長野県御代田町真楽寺)    「おくのほそ道」(殺生石)元禄24月、「那須湯本」での作。拓本取りの痕跡が硫化ガスで更に変質したのだろうか痛々しい。(栃木県那須町殺生石)  
  No.04    
  旅人 & 撮影者 福澤三雄(長野県東御市)