旅の未知草「芭蕉句碑めぐり」  
  細道を碑撮り馳せるや走馬灯  
  − 「奥の細道」旅中と思える期間に詠まれた作品を中心とした代表的な句碑(青文字;「おくのほそ道」掲載句) −  
   
 
 
今日よりや書付消さん笠の露
 
 
終宵秋風聞くや裏の山
 
 
石山の石より白し秋の風
 
 
庭掃て出はや寺に散柳
 
   「おくのほそ道」(別離)元禄285-6日、「山中温泉」で曽良の「行き行きて」に続く。初案は「さびしげに書付消さん笠の露」。(石川県加賀市大木戸門跡)    「おくのほそ道」(全昌寺)元禄285-6日、曽良の作。「今日よりや」の句に続き「大聖持の城外、全昌寺という寺にとまる。猶加賀の地也。曽良も前の夜、此寺に泊て」に続く句。(石川県加賀市全昌寺)    「おくのほそ道」(那谷)元禄285日。山中温泉で曽良と別れた芭蕉は、金沢から見送りで伴に加わった北枝と小松に戻る途中に「那谷寺」に参詣し本句を詠んだ。(石川県小松市那谷寺)    「おくのほそ道」(全昌寺)元禄286日、「加賀大聖持にある全昌寺」での作。前夜「全昌寺」に曽良が宿し「跡あらん倒れ伏すとも花野原」を書き置き侍るを見て、いと心細かり・・・・。(石川県加賀市全昌寺)  
 
 
物書て扇引さく波哉
 


 等哉よ、名月の美しい場所を教えてくれ、そこへ行く旅を一緒にしよう。実際、等哉は福井から芭蕉と共に旅に出、敦賀まで旅寝を共にしたのである。
 
名月の見所問ん旅寝せん
 
 
月見せよ玉江の芦を刈らぬ先
 
 
朝六つや月見の旅の明はなれ
 
   「おくのほそ道」(天龍寺・永平寺)元禄2815日、「永平寺の天龍寺」で、金沢から見送りに同行した北枝との別れの吟。(福井県永平寺町天龍寺)    「おくのほそ道」(福井)元禄2812-16日、「等哉」を訪ねた折に詠んだ句。「芭蕉翁月一夜十五句」の一つ(其の弐)。「荊口句帖」に十四句残り、一句は消滅、全十四句碑あり。(福井県福井市左内公園)    「おくのほそ道」(敦賀)元禄2815日、「敦賀」での名月の晩「歌枕玉江の芦」(諸説あるが、花堂江端田辺り)を見て詠んだ句。「芭蕉翁月一夜十五句」の一つ(其の四)。(福井県福井市玉江二の橋)    「おくのほそ道」(敦賀)元禄2815日、「阿曾武津の橋」(歌枕「あさむつ」)を振り返り詠んだ句。「芭蕉翁月一夜十五句」の一つ(其の参)。(福井県福井市朝六つの橋)  
  No.16    
  旅人 & 撮影者 福澤三雄(長野県東御市)