'06年の蝶 ; 東北信を中心とした蝶紀行

− 2006.09.13 −

 '06年は大雪の名残で何もかもずれこんだ。ギフチョウでシーズンインしたのはつい先日のような気がする。それなのに早やヤマトシジミでオフを迎える。今年は新たに10種の撮影が出来たので大満足だ。
 想い出に残る31種の蝶をもって今シーズンの“蝶と里山の浪漫紀行”を総決算する。活動は北信と東信に集中したシーズンであったように思える。来シーズンは時期を定め中信と南信に足を伸ばしてみよう。
 ギフチョウの撮影目的で4/29〜5/21の間に6回も通った。撮影出来たのはカタクリが咲き終える5/14で山桜の季節になっていた。

 クモマツマキチョウの撮影地では同時期に新鮮な個体が飛んでいた。いつか白馬産の特徴であるイエローバンドを撮影したい。

 図鑑ではヒメギフチョウと区別をつけにくかったが現物を数多く見たため容易に区別出来るようになった。
ギフチョウ  白馬村 05/21
 ゴールデンウィークに五竜カタクリ苑でカタクリとヒメギフチョウの撮影会が催される。今年は雪が多く連休中は雪の下であった。

 白馬はギフチョウとヒメギフチョウの混生地として知られる。大雪の影響で発生が遅れたこともあり同じ日に新鮮な個体を撮影出来た。

 来シーズンはギフチョウともども定番のカタクリての吸蜜シーンを撮影しよう。もう一つの県下混生地の飯山市で撮影しよう。
  ヒメギフチョウ  白馬村 05/21
 ギフチョウとクモマツマキチョウの撮影に夢中になっていたこともありウスバシロチョウの撮影は後回しになってしまった。

 クモマツマキチョウの生息地ではモンシロチョウぐらいの大きさしかない小振りの本種がいるという情報を耳にした。

 白馬三山を背景にネギ坊主に本種とギフチョウが吸蜜する姿を撮影したいものだ。来シーズンはシチュエーションに凝ってみよう。
ウスバシロチョウ  三水村 05/27
 満6年間愛用したデジカメ(OLYMPUS CAMEDIA C-2100)が蝶シーズンオフを目前に寿命がきた。次のモデルもやはりオリンパス(CAMEDIA SP-510UZ)にした。来シーズンは新たな撮影技法にも挑戦してみよう。
 
 地元の努力により定着したこともあり今年になって県指定の天然記念物に指定された。放蝶地域外でも撮影出来た。

 昨年はオスの撮影のみだったので今年はメスを中心に撮影した。時期も良く交尾や産卵シーンの撮影も出来た。

 県下では東御市の他に安曇野市でも定着に向け保護飼育活動をしている。来シーズンは安曇野産を撮影してみよう。
  オオルリシジミ  東御市 06/03
 スジグロシロチョウばかりでモンシロチョウの満足出来る写真がない。こと本種は見ているものの初めての撮影になった。

 東栗駒山の山頂付近のハイマツ帯で数多く飛んでいたのがエゾスジグロシロチョウで初見だったと記憶している。

 このように普通種を初撮りだと言って掲載するのはどことなく決まり悪いものだが意外にそんなものだろう。
エゾスジグロシロチョウ  白馬村 06/04
 高所恐怖症の私には無縁の蝶と決め付けていたが日本で最もポピュラーなポイントを教えて頂き撮影がかなった。

 ポイントには食草のイワハタザオも咲いているのだが吸蜜時間はいずれも数秒という短さのため撮影出来ていない。

 来シーズンは飛び回らない早朝に行ってみよう。そのためには夜明け前に家を出なければならないのだが・・・・。
  クモマツマキチョウ  白馬村 06/07
 本種も有触れた普通種だが初撮り種には違いないのでクモマツマキチョウに続いて堂々と掲載しよう。

 別に差別待遇しているわけではないが余りにも拘るとヒメジャノメに申し訳ないような気がする。

 ジャノメチョウの仲間も土地が変わるとミスジチョウのように一気に既撮影種の数を稼ぐことが出来る。
ヒメジャノメ  上田市 06/11
     
 ヒメウラナミジャノメこそ何処にもいる普通種の一つ。しかし、私にとっては想い出の蝶の一つである。

 交尾の写真を撮れたので掲載する。そう言えば今年は交尾写真をいくつも撮っている。そのうちにまとめてみよう。

 梅雨時の雨降りでも元気に飛んでくれるのでヒメシジミともども蝶屋にとっては遊び友達として貴重な存在である。
  ヒメウラナミジャノメ  長野市 06/18
 偶然オオムラサキの大量羽化の場所に出くわした。夕刻ということもありピントの甘いものばかりであった。

 何十頭も周囲を滑空するので新しいデジカメだと飛翔写真が撮れるであろう。忘れず来シーズンに挑戦しよう。

 本HPを見て立ち寄ったという岐阜県の採集者の方と偶然にも出会ってしまった。世の中は広いようでも狭い。
オオムラサキ  長野市 06/25
 コバルトブルーのグラデーションの美しさに惚れ惚れする。いつまで見ていても飽きない蝶の一つだ。

 本種は低地性だが高地性のアサマシジミ、今年は雨天続きでタイミングが合わなかったが来シーズンは必撮するぞ。

 高地性アサマシジミの代表は“ヤリガタケシジミ”で県の天然記念物に指定されている。こうなったら上高地に行かねばなるまい。
  アサマシジミ  白馬村 06/28
 少し遅かったギンイチモンジセセリではあるが少なくなったと言われている白馬での出遭いは嬉しかった。

 長野での初見は鷹狩山であった。新鮮な個体だった。それもそのはず年は異なるが1ケ月前のことだった。

 ススキの生い茂るスキー場を止まることなく飛び回るギンイチモンジセセリを追いかけ続けやっとのことで撮った。
ギンイチモンジセセリ  白馬村 06/28
     
 ヒメシジミの仲間で発生期間が長くポイントに立ち寄るたびに新鮮な個体が絶えず迎えてくれる。

 オスの表翅のスカイブルーの美しさとメスの褐色の表翅に輝くブルーの筋紋は何ともいえない魅力だ。

 食草はコマツナギであるが不思議なことにクロツバメシジミの食草であるツメレンゲやタイトゴメと同じ環境だ。
  ミヤマシジミ  白馬村 07/01
 宮城ではコミスジだけだったが長野に来て本種の他にオオミスジ・ミスジチョウ・フタスジチョウとも出遭えて嬉しい。

 白い花に黒い蝶というコントラストは絵になる光景だ。カラーでなくモノクロでも十分に楽しめる。

 いつも思うことだが蝶紋の不思議なつくりに関心させられる。モリハナエの蝶のデザインは素晴らしい。
ホシミスジ  白馬村 07/02
 ヒメシジミには一面にブルーのものと本種の2通りがある。北信のヒメシジミは濃いブルーが特徴だ。

 ヒメシジミの仲間の“ブルー御三家”といえば本種・ミヤマシジミ・アサマシジミが挙げられる。

 白馬はこの御三家がごく近くで棲み分けている。こうみると白馬は蝶の宝庫と言っても言い過ぎではなさそうだ。
  ヒメシジミ  長野市 07/09
 県外種の一つ、土着していないというが最近では北信で普通に新鮮な個体が見られるようになった。

 地球温暖化の進行を証明する種の一つとして挙げられる。最近ではかなりの県外種が入り込んできている。

 マーキングといえばアサギマダラで知られるが、マーキングとはいかないが温暖化調査の一役を担える種かと思う。
ツマグロヒョウモン  長野市 07/22
     
 善光寺平ではことの他蝶の姿を見かけない。頻繁に行われる果樹園の消毒が原因の一つかと思われる。

 そのように危惧するなか町内でヒメシロチョウを見たときは安堵感だけでなく一種の感動を覚えた。

 いつまでもヒメシロチョウの飛ぶ環境を後世に残し続けたい思いだ。これは義務かもしれない。
  ヒメシロチョウ  長野市 07/22
 アサマの御三家は本種・アサマイチモンジ・アサマシジミである。浅間山系ではアサマモンキチョウと呼びたい。

 何だモンキチョウではないかと言われないで済むよう表翅の黒紋を見せる開翅シーンを撮りたいものだ。

 北アルプス産の撮影もしたいと思うが生息環境が日帰り登山で行ける場所でないのが頭痛の種だ。
ミヤマモンキチョウ  東御市 07/23
 これはコヒョウモンで次はヒョウモンチョウと2つの写真を並べることで難しかった同定も何とかクリアした。

 コヒョウモンもヒョウモンチョウも本州では亜高山帯に棲む蝶である。信州ならではの普通種の一つと言える。

 同一種が無数にいる。何故こんなにいるのかと聞きたくなる。里で見るモンシロチョウもこれほどの数にはならない。
  コヒョウモン  東御市 07/23
 ナミヒョウモンとかナミアゲハと呼ぶ人がいる。私には信じられない。その“ナミ”という表現が好かないからである。

 本種を初めて見たのは北海道の白老ポロトコタンであった。そんなこともあって私には北海道の蝶という印象が強い。

 大型のヒョウモンチョウと比べて一回り小さい。亜高山帯のヒョウモンチョウは食が細いのかな。
ヒョウモンチョウ  上田市 07/28
     
 今年はキバネセセリが多く発生した年のようだ。あちこちのブログでもそんな話題が多く目についた。

 セセリチョウの仲間で最も蛾に近いように思う。宮城では希少種、代わりにアオバセセリが多く見られる。

 そう言えば長野でアオバセセリは一度も目撃していない。いるところに行けば見られるだろうが。
  キバネセセリ  大町市 07/29
 自信の持てる1枚が撮れていない。もう少し翅を開いたのだがカメラ位置を変えている間に飛び去ってしまった。

 林間を滑空するミヤマシロチョウ、まるでウスバシロチョウでないかと間違えてしまいそうだった。

 今年は数多く見ることが出来た。また交尾写真も撮ることが出来た。残念なことに構図がイマイチで面白さに欠ける。
ミヤマシロチョウ  東御市 07/30
 6月の蝶なのに何故か8月に撮影出来た。それも亜高山帯でのこと。すこし突いたら開翅してくれたが撮影にならず。

 いつか綺麗な開翅シーンを撮ってみたい。それも薄暗い林間でストロボをたき幻想的なものにしたい。

 いまだにイボタノキがどれなのか判別が出来ない。食草を特定できないと初見の蝶の数も進まない。
  ウラゴマダラシジミ  東御市 08/03
 ゴマシジミには本種のような“黒ゴマ”と表翅が綺麗な“青ゴマ”がいる。青ゴマは絵になるが黒ゴマも渋くていい。

 新鮮な個体だと艶っぽい栗色が何とも言えない。とても地味な蝶だが味わい深く印象に残る蝶の一つだ。

 亜高山帯に棲む高地性のゴマシジミ、予想外に数多く見かけた。これも希少価値のある蝶である。
ゴマシジミ  白馬村 08/13
     
 地元でも結構目撃するのだが撮影出来ていない。やむなく県外産だが既撮影種の仲間にいれる。

 ミヤマカラスアゲハといえば林道で集団吸水するシーンが定番になっている。撮影はおろか未だ見かけていない。

 夏の終わりから秋にかけて多く見かける蝶の一つだ。本種とモンキアゲハといえば太白山を思い出す。
  ミヤマカラスアゲハ  片品村 08/20
 蝶と里山の浪漫紀行でベニヒカゲを語らずして何をやという蝶である。そんなベニヒカゲで興味深い個体を撮影した。

 左側個体の表翅橙色内にある黒紋は東御市のポイントには生息しないはずのクモマベニヒガかと思わせる。

 今年は浅間山系の上田市でも初見かつ撮影が出来た。登山道に群がるシーンを撮りたかったがチャンスに恵まれなかった。
ベニヒカゲ 東御市 08/27
 絶滅に瀕しているツメレンゲを食草とするクロツバメシジミを初見かつ撮影することが出来た。

 ツメレンゲを初めて見たときはサボテンだと思った。そして何日も経てからやっとベンケイソウ科のツメレンゲだと分かった。

 クロツバメシジミが止まっている植物はもう一つの食草であるタイトゴメでありツメレンゲと共生している場合が多い。
  クロツバメシジミ  松本市 09/02
 逆光に透けるスジボソヤマキチョウは怪しげで絹づくりの襦袢姿を連想させることから“妖艶の蝶”と呼ぼう。

 近似種のヤマキチョウは希少種でなかなか見ることは出来ない。かつて佐久で見たような気がする。

 なかなか開翅してくれないが林道で集団吸水しているときに表翅の撮影チャンスがあったけどものに出来なかった。
スジボソヤマキチョウ  松本市 09/02
     
 発生期間が短いのか04年以降満足な撮影が出来ていない。今年も月遅れでボロではあるが一応撮影は出来た。

 フウロソウで吸蜜するシーンも良いがマツムシソウも一味違った感じに撮れて満足している。

 浅間山系を代表する蝶の一つで“信州の蝶”として想い出深くまだまだ撮影したいモデルさんの一つである。
  アカセセリ  上田市 09/03
 入梅の時期に北上し秋雨の頃に南下する。長雨の好きな蝶だが真夏の青空にも浅葱斑がよく似合う。

 TV放映の影響もあり各地でマーキングが増えている。いつか撮影した個体にマーキングがあり作品価値を逸したものもあった。

 ゆっくりと滑空するので飛翔撮影向きの蝶かと思う。時には飛翔なのか静止なのか分からない場合もある。
アサギマダラ  上田市 09/03
 細身のジャノメチョウかと思いきや何とツマジロウラジャノメではないか。そう認識出来たと同時に追いかけた。

 初見ならびに初撮りは翅をたたんだ姿を斜め後ろから撮っただけなので開翅個体を見たときは感動ものだった。

 裏面の模様はなかなかの美しさだ。いつか半開きの状態を撮ってみたいがあまり見かけない種なのでチャンスも稀であろう。
  ツマジロウラジャノメ  白馬村 09/09
低温期のヤマトシジミは濃いブルーだと知った。何だヤマトかと注意して見ていなかったので知らずしまいだった。

 ここはウラナミシジミの指定席であったが今年は2度ほど見かけたが撮れずじまいだった。

 来年も新しい蝶でこのページを飾りたい。関東から東海に足を伸ばせばいくつか増やせるだろう。
ヤマトシジミ  長野市 11/04