季節の中で39種で綴る'08年の蝶紀行

− 2008.10.28 −

 温暖化が起因しているのか昨年同様に発生時期が読み難いシーズンだった。目標には届かなかったが新たに7種(変異2種含む)が“二つ折りの手紙”に仲間入り出来た。欲を言えば“長野県指定天然記念物”が一つでも欲しかった。
 来シーズンは平日に時間が自由に取れるので天気予報を気にせず楽しめる。テーマは生息環境を取り込んでの広角撮影。また、出来れば姉に人肌脱いでもらって道の駅にスペースがあるので個展を開いてみたい。
 ホームページを開設して10年目になる。世の中、手がかからない「ブログ」とやらが普及しホームページの時代も古くなってきたように感じられる。私は「忘備録」の位置付けもあり、簡単に開いて見ることが出来る「ホームページ」というものを大切にしている。それに、データベースそのものが自分のパソコンにあるという安心感も手伝ってのことであろう。
 
長野県版レッドリスト;留意・要注目指定種
 長野の生活も4シーズン目。東北信にも生息しているというのに、今シーズンも数ケ所探索してみたが確認出来ていない。
 地元に“赤上がり”が生息しているとの情報があり探索してみたが空振りだ。代わりに県下某所で偶然にも撮影出来た。
 最初は気付かなかったが某ブログで話題になり同日同場所に行っていたので撮影記録を紐解いたところ左写真が混じっていた。
ヒメギフチョウ(赤上がり) アゲハチョウ科ウスバアゲハ亜科 撮影日;04/20
 
地味ではあるがどことなく小粋な蝶
 冬枯れが残る早春に発生する蝶で、花を訪れることがないのでコントラストが取り難く撮影には不向きな被写体の一つだ。
 発生期間が短く毎シーズン撮り逃してしまう種の一つだ。同時期のミヤマセセリやルリシジミも長野に来てまともに撮ってない。
 来シーズンは被写体として追跡してみたい種の一つだ。それにはマクロレンズが必要で本種が“マクロ撮影1号”かな?
コツバメ シジミチョウ科ミドリシジミ亜化 撮影日;05/03
 
長野県版レッドリスト;準絶滅危惧指定種
 今シーズンのイエローバンドの発生率は比較的高かったのだろうか、某ブログに集まる同輩の多くが撮影されていた。
 昨年撮影出来たが今シーズンは目撃すらしていない。本作品も一応イエローバンドだが羽化不全でボツになるべきものだ。
 撮影角度を変え痛んだ右後翅を花弁で隠れているかのようにカムフラージュしてみた。黙っていれば分からないかも・・・・。
ギフチョウ(羽化不全のイエローバンド) アゲハチョウ科ウスバアゲハ亜科 撮影日;05/18
白黒なのに何故か絵になる蝶
 北アルプスの山麓に一回り小振りなウスバシロチョウが生息していると聞いてから何年も経つのに一度も目撃していない。
 北海道に生息するヒメウスバシロチョウとの違いは何だろうか、遭遇したら捕獲し北海道のYさんに送り調べてもらおう。
 6月6日だったと記憶する。大凡の場所は分かっているが、撮影された人がいるとのことなので一度詳しく伺いたいものだ。
ウスバシロチョウ アゲハチョウ科ウスバアゲハ亜科 撮影日;05/23
 
長野県版レッドリスト;絶滅危惧T類指定種
 例年だと6月の第1土曜に“オオルリシジミ親子観察会”が催される。今年は発生が早く日程決めに苦慮されていた。
 その頃は“北アルプスの妖精”の撮影最盛期なので繰り上げた。管理人さん曰く「今日がジャストタイミング」とのこと。
 撮影者はほんの数人、静かに思う存分に撮れた。陽気が熱く蝶も喉が渇くのか土手の斜面で吸水する姿が多く見れた。
オオルリシジミ シジミチョウ科ヒメシジミ亜科 撮影日;05/24
 
長野県版レッドリスト;絶滅危惧U類指定種
 某所での撮影において今シーズンでポールポジションをとったと言えるほどに撮影チャンスに恵まれた。
 ハタザオの前に座り込み1時間ほど撮影を楽しむことが出来た。後半は遊び心に火が付いて写真のような飛翔にトライしてみた。
 ピンの合った1枚だがメスも撮影できた。このポイントも蝶の何倍もの密猟者が押し寄せているので継続的な発生が心配される。
クモマツマキチョウ シロチョウ科シロチョウ亜科 撮影日;06/08
 
長野県版レッドリスト;準絶滅危惧指定種
 2年ほど前に偶然見つけた多発性ポイントの様子を確認に行ってみた。多い所で2〜3頭/uの発生率で嬉しくなってしまった。
 車道から入り込んだ林道なので、クマが出没したらと考えるとぞっとするような環境なので一人で行くには勇気がいる。
 この付近では最も発生数が多いと推察されるので温存したいポイントだ。長野は1化性なのか来夏にチェックしてみよう。
ギンイチモンジセセリ セセリチョウ科セセリチョウ亜科 撮影日;06/12
何処で見ても烏帽子岳を思い浮かべる蝶
 本種を見つけると反射的にカメラを構えてしまうほど珍しいと思っている普通種の一つだ。宮城ではコミスジしか見られない。
 本州中部産に比べ北海道産は横一文字の幅が広いという。善光寺平周辺の里山でも見られるのは嬉しいことだ。
 ミスジチョウの仲間、特に本種を見ると半被姿の消防士を思い浮かべる。長野に来て初めて見る蝶なのに不思議なことだ。
フタスジチョウ タテハチョウ科タテハチョウ亜科 撮影日;06/12
 
希少種なのにごく普通に見られる蝶
 今年は美麻で新しいポイントを見つけた。隣の小川・中条では見かけない。もう少し近場に生息地があると良いのだが・・・・。
 気のせいか低地のヒメシジミと高地のヒメシジミでは若干違うように感じる。高地性のヒメシジミの方がブルーが綺麗だ。
 今シーズンは高地性のヒメシジミの集団吸水を撮りたくネライを定めて行ってみたが湧き水が枯れていて数頭しかいなかった。
ヒメシジミ シジミチョウ科ヒメシジミ亜科 撮影日;06/21
 
長野県版レッドリスト;準絶滅危惧指定種
 ヤリガタケシジミでなくシロウマシジミで充分だと数年前から思いを寄せているのだが今シーズンも撮れていない。
 今年は本場のアサマシジミをと昨年からポイント研究をしていたのだが北アルプスの妖精に傾注しすぎ時期を逃してしまった。
 今シーズンの同地での発生数は何となくではあるが少なかったようだ。来シーズンは新発生地探索をしてみようと思う。
アサマシジミ シジミチョウ科ヒメシジミ亜科 撮影日;07/06
 
初めて見て撮影したとても小さな蝶
 今シーズンは是非ともオナガシジミを撮りたいと思っていた。先にウスイロオナガシジミが撮れるとは思ってもいなかった。
 小さいとは聞いていたが実物を見てその小ささに二度ビックリ、他の蝶より近づいて撮らなければと焦ってしまった。
 来シーズンはもう少し落ち着いて撮りたい。印象は小さくてグチャグチャってして、米粒大に何かを描こうとし手が震えた感じ。
ウスイロオナガシジミ シジミチョウ科ミドリシジミ亜科 撮影日;07/06
長野県版レッドリスト;準絶滅危惧指定種
 カシワ大好き蝶、長尺棒で叩くとパラパラと落ちてくる。蝶を叩いて落とすとは今シーズンまで思ってもみないことだった。
 いま思いついたことであるが、来シーズンは生息環境を取り込んでの広角撮影、それが食草であることを付け加えておこう。
 この個体、叩かれてビックリ、落ちてきて止った草の葉に産卵してしまったようだ。偶然にも産卵シーンを連続撮影していた。
ウラジロミドリシジミ シジミチョウ科ミドリシジミ亜科 撮影日;07/06
 
長野県版レッドリスト;準絶滅危惧指定種
 黄色+縞模様、デジカメにとって苦手な被写体の一つである。そんなことで本種で気に入ったものが一つもない。
 手元に銀鉛カメラがあるのでデジカメが嫌う被写体撮影には一役買ってもらおうかと思う。リバーサル撮影でスキャナで取り込もう。
 本種に無関係なことだが思いついたので書きとめておこう。背景のボケ集を撮り集め被写体との組み合わせを研究してみたい。
ウラナミアカシジミ シジミチョウ科ミドリシジミ亜科 撮影日;07/06
 
長野県版レッドリスト;留意・要注意指定種
 土地再開発の名の下で、身近で最多の発生地が一瞬で消滅してしまったという悲しいシーズンでもあった。
 温暖化・環境破壊が大きく表面化してきた21世紀、地方自治にビオトーブ観光課なる機能を持って欲しいものだ。
 土地開発を行うのであれば、自然保護という観点から“開発&移転”という対なるアクションプランを義務づけたらどうだろうか。
オオムラサキ タテハチョウ科タテハチョウ亜科 撮影日;07/06
 
長野県版レッドリスト;絶滅危惧T類指定種
 地味だが味のある蝶の一つ、翅の裏を見ていると関係者(蟻)が浮き出てくるように思えてならない。
 蟻と一緒のシーンが撮れていない。来シーズンは“蟻と蝶”を徹底して追跡してみたい。来シーズンの特集テーマは“蝶の生活”かな。
 オフシーズンの課題が明確になった。蝶の写真を切り抜いていろんな形をつくり角度を変えて撮影してみよう。考えただけで楽しい。
クロシジミ シジミチョウ科ヒメシジミ亜科 撮影日;07/06
青く輝く小粋な蝶
 近くに“コムラサキの森”がある。3化の北限とかいっていたような気がする。存在を知ってから2シーズン通うも撮影暦なし。
 そこにはゴマダラチョウやオナガシジミも生息している。それらも目にしていない。もう居ないのではなかろうか。
 コムラサキはグミの木が好みだったろうか、某所のグミの垣根に随分集まっていた。ここは観察の価値がありそうな所だ。
コムラサキ タテハチョウ科タテハチョウ亜科 撮影日;07/06
 
春先の里山で最も多く見かける(越冬態)蝶
 現在までの浪漫紀行は1ページに6画像を掲載している。画像サイズを大きくし、1ページ1画像での編集ページを多くとってみたい。
 被写体が小さくても環境の中での息づきが伝わってくる。来シーズンの浪漫紀行の作風が新しく変わると思うと楽しい。
 魚眼レンズで撮る人もいるが不自然な画像は好まない。マクロで撮ってもソフトで必要以上に加工したら同じことがいえる。
ヒオドシチョウ タテハチョウ科タテハチョウ亜科 撮影日;07/06
 
長野県版レッドリスト;準絶滅危惧指定種
 当然のことだが一つの蝶にも生命がある。我々人間とは異なった生涯があろう。そんな蝶の生活・生涯を綴ってみたい。
 本種とヒメキマダラセセリには季節の狭間における寂しい思い出がある。なぁ〜にも居ない草むらを鮮やかな両種が飛んでいた。
 内臓フラッシュでなく外付で光量調整をして暗い背景を選ぶ。どんな絵になるだろうか、息吹を感じさせる絵になろう。
キマダラセセリ セセリチョウ科セセリチョウ亜科 撮影日;07/11
 
長野県版レッドリスト;準絶滅危惧指定種
 雨上がりの早朝に開翅している本種に出会った。まさかと思いながら近づき確認している間に飛び立ってしまった。
 撮影に行った時間帯のせいか今シーズンは樹木に下向きに止る姿が1枚も撮れていない。昨年とは少し違う場所で撮ったためかな?
 犀川流域の発生地に数回通うも目撃すら出来ていない。来シーズンは北信産のキマダラモドキを撮ってみたい。
キマダラモドキ タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科 撮影日;07/11
羽化し僅かで夏眠してしまう蝶
 昨シーズンに比べ発生数がだいぶ少ない。発生地の畑が耕作されなくなったのか草が生い茂っているのが起因しているのかな。
 狭い範囲なので草刈をしても良いが私有地なので勝手にやったら問題になってしまう。早かれ遅かれ工業団地になる場所である。
 長野で他の生息地は知らない。そう珍しい種ではないので当地で絶滅してしまう前に是非とも探しておこう。
ウラギンスジヒョウモン タテハチョウ科タテハチョウ亜科 撮影日;07/11
 
人為的に海外から持ち込まれた蝶(県外撮影)
 蛾のような蝶で外来種でもあり好みでない。それでもひと目見ておきたくSさんに生息地を教えて頂き出張途中で撮影した。
 長い尾を傷つけまいとかばいながらファファと飛んでいる姿は花魁のようで美しいとは異質で妖艶で少し気味が悪かった。
 人為的に持ち込まれたと記されているが目的は何だろう。郷里を思う心からだと理解出来るが害虫という観点からだと大きな問題だ。
ホソオチョウ アゲハチョウ科ウスバアゲハ亜科 撮影日;07/11
 
山地性のゼフで長野にもいる蝶(県外撮影)
 何気ない出会いというものが結構あるものだ。鬼怒川で宿泊し駐車場でマイカーのフロントガラスに偶然にも止っていた。
 ロケーションが悪くやっとの思いで一枚だけ撮れた。ウラキンシジミの名前に相応しくうまい具合に光が当たりゴールドに撮れた。
 安曇野にも生息しているようなので来シーズンには長野産を撮ってみたいものだ。近くでアップで撮りたい種の一つである。
ウラキンシジミ シジミチョウ科ミドリシジミ亜科 撮影日;07/12
 
憧れの蝶(県外撮影)
 出張に絡めての撮影なので時期が遅く新鮮な個体はいなかった。損傷してはいるものの初めて見るので感動ものであった。
 来シーズンはチョウセンアカシジミとの2種ネライで峠越えをしてみよう。近くに登ってみたい山があるので実現させたい。
 本種は長野県版レッドリストでは絶滅危惧U類指定種である。南信に生息地があるようだがどちらが近いだろうか。
キマダラルリツバメ シジミチョウ科ミドリシジミ亜科 撮影日;07/12
標高の高い草原で普通に見られる蝶
 本種とヒョウモンチョウの区別が未だに自信ない。そんな自信のなさから“ヒョウモンさま”と呼んで親しんでいる。
 いたる所で見かけるので信州ならではの蝶と思えるようになった。そろそろキチンと名前を覚えてやらないと失礼だな。
 地元(宮城&長野)で見られるヒョウモンチョウの仲間は一通り撮影出来たかのように思える。課題は一目同定だろうな。
コヒョウモン タテハチョウ科タテハチョウ亜科 撮影日;07/20
 
長野県版レッドリスト;準絶滅危惧指定種
 亜高山帯で見られるものと異なり某所に生息する一回り大きなもの、DNAまでは調べられないが比較研究してみたい。
 本種のように大きさが(著しく)異なる等研究してみたいものとして、ウスバシロチョウ・アサマシジミ・ヒメシジミ等がある。
 異常変異個体を撮影している人が結構いる。観察眼の違いから出会いを見逃さないのであろう。もう少し気長に撮影してみよう。
コヒョウモンモドキ タテハチョウ科タテハチョウ亜科 撮影日;07/21
 
珍しいと思いしや高地で結構見かける蝶
 北海道を旅した際に知床で数多く見かけた本種、長野でも高地で気をつけて見ると普通に見られることが分かった。
 ヒョウモンチョウの仲間は裏面が個性的で興味の持てるものが多い。本種はギンボシの周辺の色合いが何とも言えない美しさだ。
 本種に限らず多くの蝶が梅雨時に集中発生する。晴れ間が休日に当らないとそのシーズンは空振りになってしまう。
ギンボシヒョウモン タテハチョウ科タテハチョウ亜科 撮影日;07/26
 
長野県版レッドリスト;絶滅危惧T類指定種
 浅間山系と八ヶ岳とでは生息環境が若干異なるのだろうか、撮影されたものにもその差が現れているように思える。
 隣の芝は青い・・・・来シーズンは八ヶ岳産のミヤマシロチョウを撮ってみたい。出来れば地面での集団吸水、今まで見たこともない。
 高山植物の保護区域が年々拡大している。それは良いことだが比例して蝶の撮影環境が狭められていくのは残念な気がする。
ミヤマシロチョウ シロチョウ科シロチョウ亜科 撮影日;07/26
長野県版レッドリスト;準絶滅危惧指定種
 今シーズンは少し遅かったのか擦れた個体が多かった。なかなか開翅してくれないので逆光撮影でその雰囲気を撮ることにした。
 順光でホワイトバランスが取れたものにはかなわないが、逆光での透かし撮りもそれなりに良いものが撮れた。
 顔料インクと印刷紙の品質が良くなっている。マクロレンズも欲しいが顔料系のプリンタも欲しくなった。
ミヤマモンキチョウ シロチョウ科モンキチョウ亜科 撮影日;07/26
 
長野県版レッドリスト;絶滅危惧U類指定種
 今シーズンは黒ゴマの最盛期が読めなかった。今までに比べ早いかなと思って行ったのに擦れた個体ばかりであった。
 いつかオオゴマを撮りたいと思っているが、蝶より採集者の数が多いと聞く。そんな環境で納得いくものが撮れるであろうか。
 まあ、クモツキ撮影の執念があれば納得いくものが撮れるであろう。それにしても通い詰めるには少し遠すぎるなぁ・・・・。
ゴマシジミ シジミチョウ科ヒメシジミ亜科 撮影日;08/03
 
アカセセリと勘違いさせる蝶
 今シーズンこそと思い時期を逸しないようポイントを数回のぞいてみたが本種ばかりであった。ネライはアカセセリなのに・・・・。
 来シーズンは本種の前後に長野産のホシチャバネセセリが掲載出来ることを目標に頑張ってみようと思う。
 来シーズンは新品同様でお蔵入りしているマウンテンバイクを取り出し浅間山麓の林道を探索してみようと思う。
コキマダラセセリ セセリチョウ科セセリチョウ亜科 撮影日;08/09
 
シラカバ・ダテカンバ樹林帯で見る蝶
 宮城ではヨツバヒヨドリでクジャクチョウと一緒に吸蜜していたのに、長野では地べたスタイルしか見ていない。
 蝶のいる林道、そんなタイトルで浪漫紀行の特集をくんでみたい。シーズンオフに匂いそうな林道をいくつか挙げておこう。
 蜻蛉と水辺の浪漫紀行は聞こえが良かったが“蝶と林道の浪漫紀行”はイマイチしっくりしないネーミングだ。
キベリタテハ タテハチョウ科タテハチョウ亜科 撮影日;08/16
長野県版レッドリスト;留意・要注目指定種
 数年前から目論んでいたことが一つ実現した。この画像は、今シーズンのトピックスに該当する出来事である。
 ベニヒカゲは“想いでの蝶”である。そのベニヒカゲの遺伝的変種である“紋なしベニヒカゲ”を2度目のトライで撮影できた。
 採集圧で絶滅寸前まで追いやられたが地元の保護活動でかろうじて息を吹き返した。同じことにならぬよう自制されたい。
ベニヒカゲ(眼状紋なし) タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科 撮影日;08/16
 
長野県版レッドリスト;留意・要注意指定種
 一昨年に見つけたこのポイント、安定した環境かと思っていたが残念なことに発生数が激減してしまった。
 すでに絶滅したと思われるH村のポイントではいまだにネットマンの姿を見かける。このポイントでは目撃ゼロなのだが・・・・。
 ツメレンゲの損傷が多いのは残念なことだ。採集圧が問題視される中で、撮影圧も一考の余地があるかと思う。
クロツバメシジミ シジミチョウ科ヒメシジミ亜科 撮影日;08/23
 
長野県版レッドリスト;準絶滅危惧指定種
 御三家、アサマシジミの生息範囲が狭まっているなかで比較的健在なのが本種。春から秋まで見られるので大切にしたい。
 青麟が発達したメス、開翅したところを撮ってみたいがチャンスに恵まれていない。発生率は数%ぐらいだろうか・・・・。
 局所発生地でのラベルを稀少価値として表示しているのに、生態写真では生息環境を撮り込んでの広角撮影は表に出てこない。
ミヤマシジミ シジミチョウ科ヒメシジミ亜科 撮影日;08/23
 
目にも鮮やかな紅色の蝶
 今シーズン、真剣に撮ってみた。こうして眺めて見ると、その派手からなかなか絵になる蝶だと再認識させられた。
 本種を見るとかなり以前に黒化変異で目玉のない個体を見せて頂いたことがある。温暖化や異常気象で変異個体が増えてくるだろう。
 撮影され蝶の切手を下さったH族さん、お元気でいらっしゃるだろうか。私も決定的な異常変異個体を撮ってみたいものだ。
クジャクチョウ タテハチョウ科タチハチョウ亜科 撮影日;08/31
温暖化で北上する勢いある蝶
 北上勢力が著しく秋には善光寺平でも普通に見られるようになった。60年も生きていれば地球環境の変化も肌で感じられる。
 子供の頃に比べ積雪量や河川の氷結が少なくなったと感じる人が多い。生き物や植物も観察している人だと同様に感じる。
 リンゴやお米も品種改良が間に合わなく作れなくなるという。22世紀には人も住めなくなるだろうか・・・・考えただけで恐ろしい。
ツマグロヒョウモン タテハチョウ科タテハチョウ亜科 撮影日;09/06
 
長野県版レッドリスト;準絶滅危惧指定種
 春型に比べ夏型は被写体になりやすい。ホワイトバランスが難しいので逆光での透かし撮りが絵になる蝶だ。
 光と影がうまく調和したお気に入りの一枚だ。バックの枯れ草のぼかしがイマイチだ。もう少し暗いと引き伸ばしたくなる。
 こうして一枚一枚考えてみると課題が多い。学習し反映させたくてもフィールドに出るとなかなかそうはいかないものだ。
ヒロシロチョウ シロチョウ科コバネシロチョウ亜科 撮影日;09/06
 
渡りでシーズンを締めくくる蝶
 アサギマダラの渡り、その最盛期は平日のようだった。週末、休日は天候に恵まれなくわずかな個体が飛び交うだけだった。
 フジバカマも例年に比べ遅咲きだったようだ。昨シーズンの渡り最盛期の頃を見計らって行ったら蕾の状態だった。
 不思議なことに青空をバックに撮影するチャンスがなかった。本種は渡りの季節より初夏の林間で舞う風景が好きだ。
アサギマダラ タテハチョウ科マダラチョウ亜科 撮影日;09/14
 
哀しくもさまよえる蝶
 蝶シーズンの締めくくりは、やはり“哀しくもさまよえる蝶”になった。自分の人生に重ねてみると何か親近感を感じさせる蝶だ。
 季節感を出そうとするなら紅葉したウルシ科のヌルデ(塩麩子)で開翅するクロツバメシジミも良いかも(撮影済み)。
 編集後記は特に考えていない。いろいろと多忙で“08年の蝶紀行”の完成は10月も終えようとしている頃になってしまった。(08,10,28
ウラナミシジミ シジミチョウ科ヒメシジミ亜科 撮影日;09/14