2011年の蝶(姉妹編) 25種で綴る我が家の来訪者

− 2011.11.10 −

 2011年の蝶紀行は「オオルリシジミの棲む家;終着駅から始まる2011年の蝶」として既に紹介済みである。その姉妹編として「我が家の来訪者」と題し、敷地内で撮影した25種をまとめた。
 その「終着駅」には、絶滅危惧T類(オオルリシジミ)ならびにU類(ミヤマチャバネセセリ)といった著名人が居住することに誇りさえ感じる。住所録には、まだご挨拶してない著名人もいらっしゃる。慌てず急がずじっくりと近所付き合いをしていこうと思うのである。
 家に居ながらにして撮影出来る蝶としては贅沢の部類だ。来シーズンはもう少しまめに撮影しよう。そのためにも、蝶の好む植物を家の周囲に植えることにする。
長野県版レッドリスト;絶滅危惧T類 天然記念物
 棲息保護地の外れに位置する我が家にも数回飛来した。後を追い、近くの棲息地で撮影したもの。
 近所の水田の畦道にはクララが植えられ保護地を示す表示板が立てられている。
 クララを植えてもいいが、オオルリ以外には何のメリットもなく今ひとつ踏み切れないでいる。
オオルリシジミ シジミチョウ科 ヒメシジミ亜科 撮影日;05/28
 絶滅危惧T類の次に掲載するのが最も普通の蝶というのが何とも我が家らしい。
 無農薬農園の脇に我が家があるので、モンシロチョウは招かざる客の代表格。
 そう言えば、我が家の菜園にはテントウムシが非常に多い。数本づつのナス・トマトに数10匹いる。
モンシロチョウ シロチョウ科 シロチョウ亜科 撮影日;05/30
 千曲川の河岸段丘の上部に位置する我が家は、樹林周辺なのでウスバシロチョウにとって好環境だ。
 6m幅の地方道に面した高台なので、立ち居地より低いところを静かに滑空するので飛翔撮影も可能。
 発生地は道路を挟んだ向かい側の樹林縁の耕作地脇らしい。そこから道路を越えて飛来してくる。
ウスバシロチョウ アゲハチョウ科 ウスバアゲハ亜科 撮影日;05/30
 ミヤマセセリは私的には里山の蝶、登山道を追い越していく「雑木林の妖精」との位置付けだ。
 そんな里山の蝶が居るのだから、やはり我が家は山の上にあるんだと認識を新たにする。
 キジが飛び交っているし、一度は我が家の敷地内でカモシカを見た。やはり山の中だね。
ミヤマセセリ セセリチョウ科 チャマダラセセリ亜科 撮影日;05/30
 ワルツの舞をするコミスジ、いつまで見ていても飽きないので大歓迎の蝶だ。
 テラスで日向ぼっこをしながらコミスジの舞を見るのは還暦を過ぎた者の楽しみだ。
 表の庭から裏の菜園へ、2棟をつなぐテラスの廊下を横切っていく。穏やかでいいね。
コミスジ タテハチョウ科 タテハチョウ亜科 撮影日;06/04
 菜園の縁が農道になっている。農道の東側から北側へと6m道路が10mぐらい下をはしっている。
 法面が草地で農道脇にクロバーが生えている。そこにはいろんな蝶が吸蜜に訪れる。
 その法面に蝶が好む草花を植えたいと思っている。今年は庭から移植したコスモスが咲き乱れていた。
ベニシジミ シジミチョウ科 ベニシジミ亜科 撮影日;06/04
 ごく普通のシジミチョウだが、よく見ると可愛い。それにメスはいろんなタイプが居そうだ。
 ツバメといえば渡り鳥のツバメも多く飛んでくる。ログハウスなので巣作りの標的にされている。
 巣作りといえばハチも多い。秋には大きなスズメバチが家の横の木の実を食べに群れている。
ツバメシジミ シジミチョウ科 ヒメシジミ亜科 撮影日;06/04
 ジャノメチョウの仲間、数多くいる割りに里の蝶としては棲息数が少ない。
 目撃しているジャノメチョウの仲間としては、ジャノメチョウがいるが撮影しておけばよかった。
 旧村内にはキマダラモドキが棲息している。我が家の周辺ではどうかな・・・・。
ヒメウラナミジャノメ タテハチョウ科 ジャノメチョウ亜科 撮影日;06/04
 アサマイチモンジは、希少種ではないがカメラを向けたくなる蝶だ。
 嬉しいことに農道脇に発生地があるので新鮮な個体が飛んでくる。
 幼虫から観察すればいいが、毛虫が苦手なのでオオルリシジミの会にすら入会を戸惑っている。
アサマイチモンジ タテハチョウ科 タテハチョウ亜科 撮影日;06/20
 レッドデータブックに登録されていないが珍しい部類の蝶である。
 そんな珍しい蝶が飛んできた。かなり新鮮な個体なので家の周囲に発生地があるのかもしれない。
 毎年、決まったように現れてくれると嬉しいのだが来シーズンに賭けてみよう。
オオミスジ タテハチョウ科 タテハチョウ亜科 撮影日;06/22
 ルリシジミは表翅が綺麗だが、未だに完全開翅の撮影記録がない。
 我が家周辺での発生数は多くなさそうだが、何時かは撮影してみたい。
 庭にバラ園を作っているのでルリシジミが大量発生すると困ったことになる。
 ルリシジミ シジミチョウ科 ヒメシジミ亜科 撮影日;06/25
 梅雨の合間に駐車場で吸水する姿を多く見掛けた。近くに発生地があるのだろうか。
 地面にとまるので、青紫や赤紫に輝く翅裏を撮影するのは難しい。何時かキチンと撮影したいものだ。
 ところで、見るからに新鮮な個体ということは、近くに発生地があると考えていいものだろうか。
 テングチョウ タテハチョウ科 テングチョウ亜科 撮影日;06/25
 初夏の蝶の代表格であるクモガタヒョウモン。翅裏を見なければ皆同じに見えてくる。
 ヒョウモンチョウの仲間は同定が難しい、分からないときは「ヒョウモン様」で通してしまう。
 旧村内にウラギンスジヒョウモンの発生地がある。我が家の近くには居ないのかな・・・・。
クモガタヒョウモン タテハチョウ科 タテハチョウ亜科 撮影日;06/25
 別に不思議なことでもないが、庭先でクジャクチョウが見られるとは嬉しいことである。
 この日、撮影を逃したもののルリタテハも飛んできていた。
 ルリタテハといえば、宮城では庭のホトトギスで同じ年に3化したことがあった。
クジャクチョウ タテハチョウ科 タテハチョウ亜科 撮影日;06/25
 初夏の蝶といえばクモガタヒョウモン。撮影順が前後したが本種の飛来が先であった。
 ビックリしたのは、オオルリシジミの発生時に本種が混じって飛んでいたことである。
 クモガタヒョウモンよりウラギンヒョウモンの方が発生数が多いとは思いも寄らなかった。
ウラギンヒョウモン タテハチョウ科 タテハチョウ亜科 撮影日;06/30
 春先の里山ハイキングではお馴染みの蝶だが、発生時に見つけるのは偶然性が高く珍しい部類だ。
 そんな蝶が我が家に飛んで来るのだから嬉しくなってしまう。
 パソコン内の予定表には蝶撮影日を記入している。来年のカレンダーには来訪者を記録しておこう。
ヒオドシチョウ タテハチョウ科 タテハチョウ亜科 撮影日;06/30
長野県版レッドリスト;留意・要注目、国蝶
 旧村内には発生地が非常に多い。そのため合併前には「村蝶」に指定されていた。
 大きな羽ばたき音をたてテラスを横切って周回する。家の中にまで何度も入ったのは本種のみ。
 それほどの多産地域なのにゴマダラチョウは一度も目撃していないのは何故だろうか。
オオムラサキ タテハチョウ科 タテハチョウ亜科 撮影日;07/01
 アゲハチョウの仲間(ウスバシロチョウを除く)は勢いよく通過するのみ。
 そんな中で唯一長居したのは本種のみ。庭で吸水したり旋回したりで楽しませてくれた。
 柑橘類の植物を植えようと考えたが、当地での育成は難しいようだ。
ミヤマカラスアゲハ アゲハチョウ科 アゲハチョウ亜科 撮影日;07/14
長野県版レッドリスト;絶滅危惧U類
 絶滅危惧T類のオオルリシジミは飼育放蝶がルーツ、それに比べ本種は正真正銘の絶滅危惧U類。
 そんな本種を見逃す訳がない。朝食中のパンを放り出しカメラ片手に飛び出した。
 ミヤマチャバネセセリの訪問歴がある家として誇りに思う一日であった。
ミヤマチャバネセセリ セセリチョウ科 セセリチョウ亜科 撮影日;08/08
 いろんな蝶が我が家を訪ねてくれた。その中で、最もログがお気に入りというのが本種だ。
 テラスの手摺りや床に止まったら、しばらくは身動き一つしない。
 木の匂いが気にいったのか、それともキシダレコールの臭いが好きなのか・・・・。
ウラギンシジミ シジミチョウ科 ウラギンシジミ亜科 撮影日;09/14
 庭に作った池、コンクリート製の縁が気にいったようで行ったり来たりしていた。
 近くの花壇には千日紅やハーブが咲いているのに見向きもしない。
 ウラナミシジミは好きな蝶の一つ、そんな蝶に気に入ってもらえて何よりだ。
ウラナミシジミ シジミチョウ科 ヒメシジミ亜科 撮影日;09/22
 農道の脇にある1本のアザミ、蝶が好む花なので来シーズンはもっと植えよう。
 庭に植えてあるバラの根元に数頭のキチョウが吸水に来ていた。
 花や木が育たない1年目、訪れた蝶の多くは吸蜜でなく吸水のようだ。
キチョウ シロチョウ科 モンキチョウ亜科 撮影日;11/01
 スジボソヤマキチョウを見つけ撮影したのは色あせたオフシーズンのこと。
 そういえば、スジボソヤマキチョウが好む食草は家の周辺には少なそうだ。
 キチョウと同じように集団吸水の性質があるので、吸水に訪れてくれるといいのだが。
スジボソヤマキチョウ シロチョウ科 モンキチョウ亜科 撮影日;11/01
 晩秋の蝶の代表格、この時期が似合う蝶といえば勿論ヒメアカタテハ。
 庭には菊の花は1株も植わっていない。菊を植えれば秋タテハが集まるであろう。
 切り花にもなるので来シーズンは何種類かの菊を植えてみよう。
ヒメアカタテハ タテハチョウ科 タテハチョウ亜科 撮影日;11/01
 キタテハは初夏から訪れている。決して気付かなかった訳ではない。
 場面を選ぶと絵になる蝶だが、翅を広げないと目立たないので見逃しがちだ。
 2011年のトリはキタテハ、来シーズンも大勢の訪問をお待ちしています。
キタテハ タテハチョウ科 タテハチョウ亜科 撮影日;11/01
 まだ蝶はいるだろうと家の近くを見て回ったが、その姿は全く見当たらなかった。
 その代わりに、何処かに咲いていないかと探していたセンボンヤリの秋花を見つけた。
 写真を撮ったあと、来年の開花を期待して種を取り家の庭に蒔いた。
 センボンヤリ(秋花) 撮影日;11/10
2012年の目標
T、交換レンズが3本あるとボディが1台だと不便でならない。そこで妻におねだりして来シーズンに向けボディ(Canon EOS Kiss X5)の買い増しをした。
U、正月は「バタフライガーデン」の設計を行い、春先から蝶の集合環境の整備を始める予定だ。さて、どんな蝶が集まるか楽しみだ。