珍蝶 (福島県奥会津) 黒化型キマルリとの遭遇
 2013.06.29 (土) 晴
 Nさんのリクエストに乗じ4年ぶり3回目になる奥会津産キマダラルリツバメ(絶滅危惧Ⅱ類/福島県、天然記念物/三島町、環境省/準絶滅危惧)の撮影に六十里峠越えで遠征した。
 Tさんのホームページ(6/27)に「裏面前翅の黒条がダブルH条かつ翅表面青藍色の減退した黒化型」という「第珍品キマルリ」ニュースを目にした。

 ・・・・という訳で「曇/午後15時から雨」という天気予報で決断が鈍っていたが、この機会は逃せないと決行に至った次第だ。

 まず3枚、これは一般的なオスである。残念ながら尾状突起の先端が1本欠けている。
翅を閉じ静止する一般的なキマダラルリツバメ(♂)
 17時を回り最後に残された一幕に弱いながらも西陽が当たった。

 閉じた翅、半開き、全開翅と華やかなクライマックスシーンが展開された。
 
半開翅し静止するキマダラルリツバメ(♂)
 ご一読されたところで、左大画像をクリックし1200×800画像をご覧ください。

 これが一般的なキマダラルリツバメのオスである。
 
全開翅し静止するキマダラルリツバメ(♂) (画像Clickで拡大)    
 次ぎの3枚が「珍品」である。雄個体変異群の翅表面青藍色が減退した通称「黒化型」である。探してくださったTさんの研究結果だと当地では7%の出現率、蟻の補給度合に起因するものなのか(推測)・・・・という。
 この個体は残念ながら「H型」でも「ダブルH」でもない普通のタイプである。

 珍品初級といったところだろう。これも残念ながら尾状突起の先端が2本欠けている。

 今年は例年より出現率が高いようだという。嬉しい出遭いだ。
翅を閉じ静止する黒化型のキマダラルリツバメ(♂)
 現場では、そんな余裕は全くないが、こうして見ると擦れの少ない反対側から撮りたかった。

 珍品「黒化型」も、閉じた翅、半開き、全開翅と華やかな姿を演じてくれた。

 Tさんのご説明を窺いながら撮影するからこそ比較写真もネライ通り撮れた。単独なら整理段階で「?」で終えてしまう。
半開翅し静止する黒化型のキマダラルリツバメ(♂)
 Tさんも発見当初はメスだと思っていたという。

 ジョークになってしまうが、キマルリにも「オネェ」がいるのかな。
 
(画像Clickで拡大)   開翅し静止する黒化型のキマダラルリツバメ(♂)
 さて、最後の2枚は「一般的なメス」である。このメスは尾状突起4本の完品である。表面の擦れも少ない綺麗な「奥会津の妖精」だ。
 反対側にカメラマンが居たので警戒しそちらを向いていたので顔が写っていない。

 開翅シーンを想定し、後ろ側に回って撮影ポジションをとることが多いので仕方がないこと。

 撮影パターンとしては、広角→接写、横→後→前、逃げられない可能性からそうしている。
翅を閉じ静止する一般的なキマダラルリツバメ(♀)
 往路を引換し、菅平でなく千曲経由で帰宅した。走行距離570km、結構遠いね。

 帰宅したら、妻がテラスに止まるオオムラサキとヨツバヒヨドリで吸蜜するアサギマダラを見たという。

 編集の一休みに農道に出て見ると「ジャノメチョウ」(撮影済)と「オオムラサキ」(数回飛来を目撃)した。明日から7月だ。
全開翅し静止する一般的なキマダラルリツバメ(♀)(画像Clickで拡大)
 朝から曇り15時から雨という天気予報だったが期待を持って決行。家を6時半に出て北上直線六十里越えコース(菅平→飯山→小出→三島)で昼過ぎに現着、お仕事中のTさんにご挨拶し現地環境把握をした。
 現地到着時は晴、彼らが活動を始める15時には雲が広がり部分的に青空が出ている程度、16時を過ぎても全くお出ましなくイライラが募りだす。17時に近づきボイントに自信喪失、Tさんに電話すると外出されたという。
 Nさんに面目がたたなくSさんに電話、もう暫く粘ったらと慰められるも落ち着かない。Tさんのお宅に伺うと庭先でカメラを持っておられる。遂に泣きを入れる始末、Tさんに事情をお話しすると「今、ご案内から戻ったところ、皆さん十分撮影され満足して帰られました」と「全くの未撮影じゃ気の毒すぎる。まだ飛んでいると思うのでご案内しましょう」とおっしゃって下さった。早速、Nさんに電話し戻って頂き現地に向かった。
 こんなドタバタだったが、日頃の行いが良かったのか「珍蝶;雄個体変異群の翅表面青藍色減退(黒化型)」を撮影することが出来た。なお、チョウセンアカシジミは生き残り(極度損傷個体)を目撃しました。Tさん、本当にお世話になりました。ありがとうございました。