鹿島紀行 霞ヶ浦周辺の芭蕉句碑
 2015.11.20(金) 曇/小雨
 何時か行ってみたい「鹿島詣」(鹿島紀行)。車での仙台出張は今回まで、次は来春3月以降になる。しばらく好天に恵まれたいたが「隠れ低気圧」が表面化し前日の天気予報で小雨・・・・まるで「旅の未知草」の如き気紛れ。
 
【鹿島神宮】茨城県鹿島市
 日の出時刻の到着に合せ午前1時に家を出た。毎度ながら早めの到着(6:30→6:00)、一般道で国道50号結城市から鹿島神宮へ走行距離は266km。1時間強とゆっくりした拝観で休憩(朝食)も十分にとれた。
 日の出前からの撮影、今にも泣き出しそうなので露出不足は避けられない。ここには3つの句碑がある。
 「楼門」(日本三大楼門の一つ)裏手の句碑
01「名月や鶴脛高き遠干潟」(めいげつや つるはぎたかき とおひがた)、存疑の部。
 
 楼門をくぐり本殿の前を抜け神宮の杜の突き当りに「奥宮」がある。その前に2つ目の句碑がある。
 句碑
02
「此松の実生せし代や神の秋」(このまつの みばえせしよか かみのあき)貞享4年8月の「鹿島紀行」で詠んだ句。→句部の拡大
 
 
 3つ目は「要石」の右手、句碑03「枯枝に鴉のとまりけり穐の暮」(かれえだに からすのとまりけり あきのくれ)、延宝8年の作。典型的な「字余り」(準格)の句。
【根本寺】茨城県鹿島市
 
 ここには2つの句碑がある。「山門」左手、句碑04「寺に寝てまこと顔なる月見かな」(てらにねて まことがおなる つきみかな)「鹿島紀行」での作。
 
 「本堂」右手、05「月はやし梢は雨を持ちながら」(つきはやし こずえはあめを もちながら)「鹿島紀行」での作。芭蕉参禅の師である「佛頂禅師」の寺(江戸での居住は臨川庵/臨川寺)、この頃は付近の草庵(大儀寺)に隠棲していた。「鹿島詣」の目的の一つは「佛頂禅師」を訪ねることだったようだ。
【大六天神社】茨城県潮来市  
 
 県道50・101の交差点脇にある神社。句碑06「刈かけし田面能鶴や左と農秋」/「刈りかけし田づらのつるや里の秋」(かりかけし たづらのつるや さとのあき)、「鹿島紀行」での作。
【長勝寺】茨城県潮来市
 
 ここには「三吟句碑」と「時雨塚」がある。「三吟句碑」は「鹿島紀行」の「帰路自準に宿す」で詠んだ句。三吟;主人(松江)句07「塒せよ和ら本す宿の友すヾめ」/「塒せよわらほす宿の友すヾめ」(ねぐらせよ わらほすやどの ともすずめ)客(芭蕉)句08「あきをこ免たるく年の指杉」/「あきをこめたるくねの指杉(あきをこめたる くねのさしすぎ)、曾良句09「月見んと汐引のぼる船とめて」/(つきみんと しおひきのぼる ふねとめて)。主人(松江)については「天聖寺跡」で補足。
 「時雨塚」は「笈の小文」(其角亭餞別会)で詠んだもの、句碑10「旅人と我名よばれむはつしぐれ」(たびびとと わがなよばれん はつしぐれ)、貞享4年の作。個人的には「旅に病で」同様に好きな句の一つ、出逢えて嬉しかった。
 
  【三熊野神社】茨城県潮来市
 雨も本降りになり傘を差しての撮影になった。
 句碑11「春もやゝけしきとゝのふ月と梅」(はるもやや けしきととのう つきとうめ)、元禄6年春の画賛句。この句に出逢うのは6回目だ。
 
【大儀寺】茨城県鉾田市
 車載ナビは純正と携帯の2台、いずれも農作業の軽トラぐらいしか通らないような路肩も柔らかく雨降りには避けなければならない草道を案内した。到着した場所は寺の裏手・・・・掃除中の住職さんが「遠路の尋ね人」は裏道から来られる・・・・良い表道があるのにとすまなそうに出迎えて下さった。
 
 
 ここには2つの句碑がある。住職さんの案内で新しい句碑、句碑12「寺にねてまことがほなる月見かな」(てらにねて まことがおなる つきみかな)、「鹿島紀行」での作。「佛頂禅師」が中興開山した寺で、「鹿島紀行」で芭蕉たちは当寺で一泊(佛頂禅師は根本寺から当寺に隠棲していた)、本句を詠んでいる。境内(竹藪)には芭蕉ファンの自句碑が180基近く所狭しに建てられている。小画像は、「月見寺」(上)と「芭蕉庵」(下)。
 芭蕉の「月はやし」「寺に寝て」に続く、曾良句13「雨に寝て竹起かへるつきみかな」/(あめにねて たけおきかえる つきみかな)、宗波句14「月さびし堂の軒端の雨しづく」/(つきさびし どうののきばの あめしずく)。「仏頂塔」に並んで句碑が建てられている。
 
【化蘇沼稲荷神社】茨城県行方市
 
 社殿右手の句碑、15「この道やゆく人なしに秋のくれ」(このみちや いくひとなしに あきのくれ)。元禄7年9月の作。句碑で見えているのは句碑を立てた俳人「洞海舎凉谷」の「名月も昨日になりぬ峰の松」、肝心の芭蕉の句は小枝の陰。広角レンズでやっとの思いで撮影→「芭蕉句面
 
 ここには句碑か2つ、すっかり忘れ、次の場所で気付き戻っての撮影。社殿右手奥、上句碑とは目と鼻の先。句碑16「永き日も囀たらぬひばり哉」(ながきひも さえずりたらぬ ひばりかな)。貞享4年の作。(句面の拡大
【月蔵寺大教院跡】茨城県鉾田市  
 
 「月蔵寺大教院跡」(地蔵堂)に芭蕉句碑がある。句碑17「氣婦計人気登し与麗者津志くれ」/「今日ばかり人も年寄れ初時雨」(きょうばかり ひともとしよれ はつしぐれ)。元禄5年の作。
  【石八戸会館】茨城県鉾田市
   句碑、18「梅かゝにのっと日の出る山路哉」/「梅が香にのっと日の出る山路哉(うめがかに のっとひのでる やまじかな)、元禄7年の芭蕉最後の春、野坡との両吟歌仙の句。「炭俵」の冒頭を飾った名句。
【修善院】茨城県小美玉市  
 門前に芭蕉句碑がある。句碑19「春もやゝけしきとゝのふ月と梅」(はるもやや けしきととのう つきとうめ)元禄6年春の画賛句。この句に出逢うのは今日2回目、通算7回目だ。
 
 句碑の撮影を終え「釈迦涅槃像」を撮っていると「奥さん」(お大黒さん)が帰宅され、いろいろお話をさせて頂きました。小美玉市には、茨城空港(航空自衛隊百里基地)がある。頭上を横切るジェット機の爆音で会話が途切れる。沖縄問題に話が移るのは自然の成り行きだ。
  【天聖寺跡】茨城県小美玉市
 
 「天聖廃寺」は斎場・共同墓地になっている。「本間家(松江/道悦)の墓」に「鹿島紀行」の「帰路自準に宿す」で詠んだ「三吟句碑」がある。(墓地を物色するようで気が引けたが解り易かったので安心した)
 主人(松江/道悦)句20「ねぐらせよわらほすの宿友すずめ」/「塒せよわらほす宿の友すヾめ」(ねぐらせよ わらほすやどの ともすずめ)、客(桃青/芭蕉)句21「あきをこめたるくねの指杉」(あきをこめたる くねのさしすぎ)、ソラ(曽良)句22「月見んと汐引のぼる船とめて」/(つきみんと しおひきのぼる ふねとめて)。→説明板
【常陸国分寺跡】茨城県石岡市
 
 
 参道左手にある大師堂前に芭蕉句碑がある。句碑23「以左行ん雪見爾古呂婦所ま天」/「いざ行む雪見にころぶ所まで(いざゆかん ゆきみにころぶ ところまで)、貞享4年、「笈の小文」旅中「名古屋の風月堂」で詠まれた句。
  【如来寺】茨城県石岡市
 
 句碑24能見れは薺花さく垣根哉」/「よく見れば薺花咲く垣根かな」(よくみれば なずなはなさく かきねかな)。貞享3年の作。
【愛宕神社】茨城県笠間市  
 
 標高305mの愛宕山山頂にある神社、社殿裏手飯綱神社左手前に芭蕉句碑がある。句碑25「夏來ても只一つ葉のひとつかな」/「夏来てもただひとつ葉の一葉かな」(なつきても ただひとつばの ひとはかな)。元禄元年、「笈の小文」旅の帰路「岐阜付近の山中」にて詠んだ句。
  【玄勝院】茨城県笠間市
 
 本堂裏手の庭園に芭蕉句碑がある。句碑26古池や蛙飛込水の音」(ふるいけや かわずとびこむ みずのおと)、貞享3年の作。芭蕉作品中、最も人口に膾炙した俳句中の俳句だけあってこの句碑で13回目になる。
【笠間稲荷神社】茨城県笠間市
 
 「笠間稲荷神社」(日本三大稲荷の一つ)楼門右手の藤棚の下に芭蕉句碑がある。句碑 27「志波羅く盤花能うへなる月夜哉」/「しばらくは花の上なる月夜かな(しばらくは はなのうえなる つきよかな)元禄4年春の作。
「鹿島紀行」の17句 (青色の9句碑撮影)
 「月はやし梢は雨を持ながら」(つきはやし こずえはあめを もちながら)桃青
 
「寺に寝てまこと顔なる月見哉」(てらにねて まことがおなる つきみかな)桃青
 「雨に寝て竹起かへるつきみかな」(あめにねて たけおきかえる つきみかな)曽良
 「月さびし堂の軒端の雨しづく」(つきさびし どうののきばの あめしずく)宗波

 
「此松の実ばへせし代や神の秋」(このまつの みばえせしよや かみのあき)桃青
 「ぬぐはヾや石のおましの苔の露」(ぬぐはばや いしのおましの こけのつゆ)宗波
 「膝折ルやかしこまり巻鳴鹿の聲」(ひざおるや かしこまりなく しかのこえ)曽良
 
「刈りかけし田づらのつるや里の秋」(かりかけし たづらのつるや さとのあき)桃青
 「夜田かりに我やとはれん里の月」(よたかりに われやとわれん さとのつき)宗波
 「賤の子やいねすりかけて月をみる」(しずのこや いねすりかけて つきをみる)桃青
 「いもの葉や月待里の焼ばたけ」(いものはや つきまつさとの やけばたけ)桃青
 「もゝひきや一花摺の萩ごろも」(ももひきや ひとはなすりの はぎごろも)曽良
 「はなの秋草に喰ひあく野馬哉」(はなのあき くさにくいあく のうまかな)曽良
 「萩原や一よはやどせ山のいぬ」(はぎはらや ひとよはやどせ やまのいぬ)桃青
 
「塒せよわらほす宿の友すヾめ」(ねぐらせよ わらほすやどの ともすずめ)松江
 「あきをこめたるくねの指杉」(あきをこめたる くねのさしすぎ)桃青
 「月見んと汐引きのぼる船とめて」(つきみんと しおひきのぼる ふねとめて)曽良
 今回の旅の未知草は296km(往712km-復416km)。予定(大田原経由白河)と異なり「袋田の滝」経由で須賀川から白石まで高速利用・・・・疲れたね。