信濃の細道 ; 牛に牽かれて句碑巡り(其の参) |
2014.12.12(金) 曇 |
45日毎、すなわち3ヶ月に2回の割合で長野市篠ノ井(前居住地)にある主治医の先生(Aクリニック)まで定期診察に行っている。若干薬が残っているが空模様と相談して「未知草」を思い立った。家を出る際は青空があったが善光寺平は流石に(6年半住んでの実感として・・・・善光寺平の空は暗い)どんよりとした雪雲に覆われ撮影には不向き(句碑面の刻みがボケる)だった。 | ||
予約をしていないので午前中は潰れてしまう。通り道にある句碑①②を撮影してからでも終わりの時刻に大きな差は生じないだろうと道草をした。 | ||
【治田公園】千曲市稲荷山 | ||
句碑①「何此 師走の市に ゆくからす」(なににこれ しはすのいちに いくからす)/(花摘)、元禄2年の暮の作。(向かって右面に句が刻んである。(句面) |
【千曲橋右岸公園】千曲市杭瀬下 | ||
句碑②「蜻蛉や とりつき兼し 草の上」(とんぼうや とりつきかねし くさのうえ)/(笈日記)、元禄3年秋の作。「蜻蜒」(とんぼう)とは「カゲロウ」のこと。。(説明) | ||
「十六夜観月堂」に立ち寄るつもりであったが入口を見落とした。そのため「治田公園」「千曲橋」にしたことで診察後の順路に大幅な回り道が生じ、また、厚い雪雲が覆い始め露出不足の撮影紀行へと化すのであった。地元は、つい緊張が緩み油断へとつながるものだ。 | ||
「牛に牽かれて句碑巡り」・・・・「主治医に招かれ」ってとかな、冬場に差し掛かると血糖コントロールがランナウェイする。前回から徐々に上がり始め、今回は「ムムム・・・・」の境界まで上がってきていた。「句碑めぐり」程度の運動では事足りないことぐらいは班別つくが・・・・「炬燵の番人」は「猫」に譲るしかないようだ。 | ||
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【伊勢社】千曲市新田 | ||
句碑④「何の木の花とも知らすにほいかな」(なにのきの はなとはしらず においかな)/(笈の小文)。「笈の小文」は、貞享4年、深川-伊良湖崎-伊勢-伊賀上野-大和-吉野-須磨-明石へと旅をした紀行文。 |
【上町集会所付近】千曲市寂幕 | ||
句碑⑤「名月や 児達ならぶ 堂乃掾」(めいげつや ちごたちならぶ どうのえん)/(初蝉)、元禄3年8月15日、尚白との両吟歌仙での発句。「児達なならぶ」→「児立ち並ぶ」。(説明) |
【笄の渡し】坂城町坂城 | ||
句碑⑥「いさよひも また更級の 郡かな」(いざよいも まださらしなの こおりかな)/(更級紀行)、「笈の小文」から戻り暫く岐阜に逗留するも、8月になって何を思ったか信州更級の姨捨山の月見をしたくなり「更級紀行」に旅立つ。貞享5年8月16日、坂城での作。句碑は「笄の渡し」(村上義清の奥方が千曲川を渡って葛尾城落城の折りに落ち延びた地)にある。 |
【西念寺】坂城町中之条 | ||
句碑⑦「身にしみて 大根からし 秋の風」(みにしみて だいこんからし あきのかぜ)/(更級紀行)、坂城滞留は8月16日-17日、その際の発句。芭蕉も食した「辛味大根」(説明)、私も栽培しワサビ代わりに蕎麦の薬味にしている。 |
【会地早雄神社】坂城町鼠 | ||
句碑⑧「膝行ふ便や 姨捨乃月」(いさりふびんや おばすてのつき)/「芭蕉全句集」になく不詳。読みも自信なし、私的には「月見」を詠んだとは思えず。むしろ「姨捨伝説」につながるものを感じた。 |
千曲川を渡り再スタート的な句碑めぐりだ。「十六夜観月殿」「姨捨」は「真打」といったところかな・・・・。行く手の姨捨山(冠着山)は厚い雪雲に覆われ撮影条件は増々悪くなる一方だ。 | ||
【十六夜観月殿】坂城町網掛 | ||
句碑⑨「十六夜も まだ更級の 郡かな」(いざよいも まださらしなの こおりかな)/(更級紀行)、貞享5年8月16日、信州坂城での作。(句面)「更級紀行」では11句読んでいる。これとは別に「越人」の2句が加わる。 | ||
【姨捨駅】千曲市八幡 | ||
句碑⑩「おもかげや 姨ひとりなく 月の友」(おもかげや おばひとりなく つきのとも)/(更級紀行)、貞享5年8月16日、信州坂城での作。主題は「姨捨伝説」 |
【姨捨公園】千曲市八幡 | ||
句碑⑪「元日は 田毎の日こそ こひしけれ」(がんじつは たごとのひこそ こいしけれ)/(真蹟懐紙)、元禄2年元旦の歳旦吟。前年の「更級紀行」から、この年の「奥の細道」へのつながりが述べられているとか・・・・。 |
【長楽寺】千曲市八幡 | ||
句碑⑫「俤や 姥一人なく 月の友」(おもかげや おばひとりなく つきのとも)/(更級日記)、句碑⑩に準ずる。「姨捨伝説」とは、一言でいうなれば「年寄り」を大切にしなさいというくだり。 |
【縁明治参道入口】上田市長瀬 | ||
句碑⑬「物いへは 唇寒し 秋の風」(ものいえば くちびるさむし あきのつき)/(芭蕉庵小文庫)、句碑③に準ずる。この句と次の句は家路に着き近くにあるもの。 |
【延命寺地蔵尊】上田市長瀬 | ||
句碑⑭「古池や 蛙飛込 水の音」(ふるいけや かわずとびこむ みずのおと)/(蛙合)、貞享3年の作。全国の句碑の中では最も多い句ではなかろうか・・・・個人の感想。 | ||
上田市や軽井沢町等、この先2回ほど計画するに値する句碑が東信にある。・・・・地元とはいえ、大変だね。 |